WWWとHTMLの登場
インターネットを今のように多くの人が使えるようになったのは、WWWとHTMLが登場したことが大きく影響している。インターネットは1980~1990年代の間は主に研究者を対象に運用されていた。一方で1984年にはAppleのMachintoshが発売されるなど、個人で使えるパーソナルコンピューター(PC)が登場し、限られたネットワーク内でつながるパソコン通信などが使われ始める。
パソコン通信もインターネットもテキストベースでのやりとりが中心だったが、PC上のソフトウェアで印刷物を作ったり、表計算をしたり、いろいろな使い方ができたりするようになり、インターネットでもそうした機能を実現しようという人物が現れた。
その人物はTim Berners-Lee博士で、スイスにある欧州原子核研究機構(CERN)という研究機関に在籍中、研究に関係のある文献やデータを互いに「リンク」させる仕組みを考案した。それが今では「ウェブ」と呼ばれるWWW(World Wide Web)のもとであり、ウェブという名前も同氏によって付けられた。
テキストをクリックするだけで関連するテキストに移動できるリンクは、「ハイパーテキスト」と呼ばれる仕組みで成り立っており、そのときに使用する「HTML(Hyper Text Markup Language)」というマークアップ言語も併せて考え出された。1991年には世界で最初のウェブが公開された。そのときに使われたのが「WWWクライアント」というソフトウェアで、いわゆるブラウザでウェブを表示させるためのツールである。
Lee博士はインターネットを作り上げてきた人たち考えを尊重し、WWWに関連する技術やソフトウェアで特許を取ることは一切せず、仕組みも含めて誰もが使えるよう全て無料でオープンにした。そのおかげで誰もがインターネットを利用しやすくなり、生活やビジネス、社会を変えるほどの変革をもたらしている。
こうしたLee博士の功績は世界でも認められて2007年には英国王室から勲章を授与、ナイトに当たるサーの称号も与えられている。
ホスト名とドメイン名とIPアドレスの関係
インターネットはネットワークの集合体で、それぞれ個別に運営されている。各コンピューターに識別子が割り当てられることによって、お互いにつながり合うようになっている。識別子とは「ドメイン名」や「IPアドレス」のことを指す。IPアドレスは数字の羅列なので、人が見ても分かるように「ホスト名」ができた。さらに、ネットワーク名やホスト名とIPアドレスの組み合わせをテキスト形式で記述した「ドメイン名」が1970年代に既に登場している。
当時はホスト表(host table)がHOSTS.TXTというテキストファイルで配布されていたが、ホストの増加によりファイルの配布が困難になり、名前を問い合わせるとアドレスを応答する「ネームサーバー」というアイデアが提案される。1983年にDNS(Domain Name System)が提案され、1984年にはDNSサーバーの「BIND(Berkeley Internet Name Daemon、後にDomain)」が開発された。ドメイン名にはウェブのURL(Uniform Resource Locator)とメールアドレスがある。
アドレス名やIPアドレスは重複しないよう、世界中でルールを決めて管理されているそのルールを決めている組織の一つがICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)で、先日神戸で日本では2回目の国際会議が開催された。
IPアドレスは大事なインターネット資源
IPアドレスはインターネットにとって大事な資源であり、現在のIPアドレスはIPv4という規格を利用しているが、あまりにも利用者が増えたため足りなくなりつつある。そこで新規格であるIPv6への移行もかなり前から進められている。
IPアドレスを世界中で公平に分配するため、さまざまな管理組織が運営されている。全世界のIPアドレスを管理するのが「IANA(Internet Assigned Numbers Authority)」、アジア全体では「APNIC(Asia-Pacific Network Information Centre)」、そこから委任される形で日本では「JPNIC(Japan Network Information Center)」が管理を行っている。
日本におけるIPアドレスの管理