Red Hatは2003年に大きな賭けに出た。同社は「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)によって、数多くある汎用Linuxディストリビューターのうちの1つから、エンタープライズ向けLinux市場を牛耳る企業に転身することを目指した。Red Hatはその賭けに勝った。しかし同社は、間もなくIBMの傘下に入る予定になっている。このため、Red Hatがボストンで開催された「Red Hat Summit」でお披露目したRHEL 8は、「純粋」なRed Hat Linuxディストリビューションとしては最後のメジャーリリースになる。
RHEL 8は、Red Hatがこれまでたどってきた歴史にふさわしいLinuxだと言えるだろう。RHEL 8は単なるLinuxディストリビューションではなく、2019年の企業のITが必要とするあらゆるものの基礎となるOSだ。AI、モノのインターネット(IoT)、コンテナ、DevOpsなど、あらゆるものがLinuxで動いており、そのLinuxはRed HatのLinuxであることが多い。
こうした技術を企業に導入しやすくするため、RHEL 8には「Red Hat Insights」が組み込まれている。この新たなソリューションは、Red HatのLinuxに関する専門知識を顧客に「as-a-Service」として提供するもので、セキュリティ上の脆弱性や安定性などのIT部門が抱える問題を特定し、改善する手助けをする。Red Hat Insightsでは、管理者が問題や予定外の本番環境のダウンタイムの発生を回避するのを支援するため、Red Hatのオープンな技術を用いた予測的アナリティクスを使用している。
また、RHEL 8では「アプリケーション・ストリーム」も導入された。これは、RHELのコアリソースに影響を与えずに、開発者が最新のプログラミング言語やフレームワーク、開発者向けツールなどを使えるようにするためのパッケージだ。これによって、プログラマーと管理者の両方を満足させることができる。
システム管理者と言えば、RHEL 8では、多くのシステム管理タスクを抽象化することで管理者の作業を簡単にする新たなウェブコンソールも採用された。このコンソールは、RHELシステムの管理と監視を行うための直感的で一貫性のあるグラフィカルインターフェースを提供するもので、仮想マシンの健全性からシステムの全体的なパフォーマンスまで多くのことを管理できる。さらに、RHEL 7環境をRHEL 8にコンバートするためのインプレースアップグレード機能もサポートされている。
新バージョンのRHELには、「Ansible Automation」を利用して複雑な管理タスクを自動化する「Red Hat Enterprise Linux System Roles」も導入された。これによって、よくある設定ミスによるヒューマンエラーを減らすことができるという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。