ボストンで開催されている「Red Hat Summit」の基調講演は、IBMの最高経営責任者(CEO)Ginni Rometty氏とRed HatのCEO James M. Whitehurst氏のハグから始まった。この光景は、Red Hatの聴衆に歓迎された。しかし、本当のハイライトは、MicrosoftのCEOであるSatya Nadella氏が壇上に姿を現し、Whitehurst氏とともにMicrosoftとRed Hatが新たに共同で提供する「Azure Red Hat OpenShift」について語ったことだろう。
Microsoftの現CEOがLinux企業の主要なトレードショーに登壇したのは、歴史的な出来事だ。元MicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏が「Linuxはガンだ」と語っていたことを考えれば、隔世の感がある。
なぜこのような変化が起きたのだろうか。Nadella氏は、「われわれはもう少し謙虚になり、『どうすれば多くの場で生み出されている優れた技術を用いて価値を生み出せるか』を考える必要がある」と語った。
Whitehurst氏はこの発言に、「5年前には、われわれは敵対関係にあると考えられていた。その後、われわれが協力して成果を積み上げてくることができたのは素晴らしいことだ。これは双方の成果であり、双方が顧客に貢献したいと考えているためだと私は思っている。そしてわれわれは幅広い分野で協力できることが分かった」と付け加えた。
これに対しNadella氏は、Microsoftがオープンソースを取り込んだのは、本質的に顧客が同社に期待していることに突き動かされたためだ考えていると応じた。つまり、両社が顧客のために最善を尽くした結果だというわけだ。
Red Hatはすでに「Azure」で「OpenShift」を利用できるようにする取り組みを行っている。今回の新サービスは、Microsoftとパートナーシップを結んで進む次のステップだと言えるだろう。
新たにGAとなって展開されるAzure Red Hat OpenShiftは、Red Hatのエンタープライズ向けKubernetesプラットフォームである(「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)上で動作する)「OpenShift」と、MicrosoftのクラウドサービスであるAzureを組み合わせたものだ。Azure Red Hat OpenShiftの顧客は、Kubernetesで管理されたコンテナアプリケーションを、Azureのワークフローと組み合わせて利用できる。両社は、この組み合わせはハイブリッドクラウドコンピューティングに向けた動きを加速する上で強力な手段になると考えている。