Google CloudとSAPは、SAPの「Embrace」プロジェクトの一環として、ベストプラクティスやリファレンスアーキテクチャーを共通の顧客に提供し、ワークロードの移行を後押しするとともに、「C/4HANA」の拡張機能の提供などを共同で進める。Google Cloudにとって、SAPとの連携を強化することはさらなるエンタープライズ顧客の獲得につながる可能性がある。
SAPとGoogle Cloudは、これまでもエンタープライズ顧客獲得のために協力してきた。SAPはまずAmazon Web Services(AWS)と協力関係を結んだが、Google CloudやMicrosoft Azureとも強固なパートナーシップを築いている。
SAPはEmbraceと呼ばれるプログラムで、Azure、AWS、Google Cloudとより緊密に協力していくという。SAPとこれらのクラウドパートナーは、顧客に「S/4HANA」などのSAPアプリケーションでの利用に適したプラットフォーム、サービス、ソフトウェア、インフラを推奨していく。
Googleにとって、SAPとのさまざまなパートナーシップは、エンタープライズ顧客の獲得に向けた懸命な取り組みの一環となる。最高経営責任者(CEO)にThomas Kurian氏が就任して以降、Google Cloud Platformは元OracleのHamidou Dia氏や元MicrosoftのJohn Jester氏など、大手エンタープライズ企業から複数の幹部を獲得している。4月には、SAPの元ベテラン幹部であるRobert Enslin氏が、グローバルカスタマーオペレーション担当の新しいプレジデントとしてGoogle Cloudに加わった。
Google Cloud Platformは「2019 SAPPHIRE NOW」でSAPとのパートナーシップについて次のような発表を行っている。
- S/4HANAをGoogle Cloudに移行するためのベストプラクティスやリファレンスアーキテクチャー。同社はベストプラクティスやリファレンスアーキテクチャーの提供によって、SAP Cloud PlatformとGoogle Cloudのサービスを連携して活用するためのプロセスを容易にする。
- Google Cloud上で利用できるSAP C/4HANAの拡張機能。これらの拡張機能は、開発者がC/4HANAとGoogle Cloudのサービスをネイティブに組み合わせることを可能にするものだ。C/4の拡張機能の展開と管理を行うためのKubernetesサービスも提供される。
- Google Cloud上で「SAP HANA Enterprise Cloud」をマネージドサービスとして提供。このマネージドサービスを利用するSAPの顧客は、バックグラウンドで管理されたコンピュートインフラで人工知能(AI)や機械学習、アナリティクスを利用することができる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。