Merakiは、元々無線LANアクセスポイントや各種ネットワーク機器と、これらをクラウドで一元管理するサービスと組み合わせて中堅企業向けに提供していたベンダーだ。2012年に、Cisco Systemsに買収されている。買収後のMerakiは、基本的には無線LANアクセスポイントのブランドとして存在感を維持していたが、このほど日本でシスコシステムズが中小企業向けのネットワークソリューションとして展開する「Cisco Start」に含まれる製品「Meraki Go」となった。
ここでは、4月11日の発表会場でプレス向けに提供された試用機を元に、「無線LANやネットワーク技術に詳しいわけではない中小企業が簡単に導入できる」ことを目指したという同製品の使い勝手を確認してみたい。
パッケージング
Meraki Goは、Cisco Startの中でも「DIY(Do It Yourself)モデル」と位置付けられている。IT関連でDIYといえば“自作PC”を思い浮かべる人が多いだろう。もちろん同製品は「自分好みの仕様の無線LANアクセスポイントを部品レベルから組み立てる」というものではなく、「自分で機器を購入し、自分でセットアップする」という意味だ。つまり、従来型のネットワーク導入モデルである「SI事業者がネットワーク構築を行ってくれる」という形ではない。
コンシューマー向けに販売されているブロードバンドルーターや無線LANアクセスポイントは、基本的に「自分でセットアップすることが前提」の製品であり、「何を今さら」という感もあるが、シスコシステムズは基本的にエンタープライズ向け製品のベンダーであり、コンシューマー向け機器のベンダーとは元々の立ち位置が違うということになる。
実際、Meraki Goが想定している用途は小規模な店舗などで、従業員用の無線LANに加え、来店客にもWi-Fiサービスを提供したいといった使われ方だ。今回の試用機は屋内向けモデルだが、同時に屋外向けモデルも用意されている点も、こうした事情を反映したものだという。例えば、カフェのテラス席向けにWi-Fiを提供するといった場面では、屋外向けモデルを建物の外壁に取り付けて利用するという使われ方になる。
DIYモデル以外のMeraki Goのもう一つの特徴が、販路としてAmazonを想定している点だ。「遂にCisco製品もAmazonで気軽に買えるになったか」という感慨もするが、元々の製品の立ち位置からすれば、それほど驚くことではないかもしれない。
さて、Amazonで買えることから、製品のパッケージングはコンシューマー製品並みに洗練されている。シンプルな茶色の箱は、縦横ともにA4用紙よりも一回り小さく(約27×18センチ)、厚みは8センチ弱というサイズで(画像1)、開けてみると「Cisco」のロゴがさりげなく刻まれた本体が鎮座する(画像2)。本体の下に各国語で表示された警告と、「スマホアプリを利用。本体に電源/ネットワークケーブルを接続し、取り付けプレートを介して壁掛けにする」という手順をイラストのみで表現した簡単なインストラクションシートがあるのみだ。
画像1:ごくシンプルな箱。フットプリントはA4用紙より一回り小さいくらいだ
画像2:箱を開けるとこんな感じだ。本体もシンプルなので、一見ではなんだか分からない
また、「Meraki Go サブスクリプションカード」と書かれたカードの裏面に、利用登録をするためのキーコードが記載されている(画像3)。本体の下には電源アダプター、ネットワークケーブル(約2メートル)、壁に取り付けるための木ねじ一式が入っている(画像4)。ちなみに、梱包状態では本体に取り付けられている設置用プレートを、指示に従って本体から外してみる。取り付け場所の材質や構造に対応した多数の取り付け穴が用意されており、妙に“メカメカ”した感じが、ちょっと楽しさを感じさせる(画像5)。
画像3:本体とその下に敷かれていた紙類。“マニュアル”というイメージのものはない
画像4:下段にはACアダプターとネットワークケーブル、取り付け用ネジなどがある
画像5:本体に取り付けられた状態になっていた設置用プレートには、主に米国で使われている内装材に対応するネジ穴が多数準備されている