米証券取引委員会(SEC)は、テクノロジー分野の新興企業などに適した新たな証券取引所の創設を承認した。
Reutersの報道によると、SECは米国時間5月10日、この「ロングターム証券取引所(LTSE)」の新設を承認した。LTSEを提案したのは新興企業のアドバイザーであり、起業家であるEric Ries氏だ。
Ries氏はこれまでに、LTSEを創設するためにベンチャーキャピタリストから1900万ドルを調達した後、営業に必要なSECの認可を待っていた。
シリコンバレーに本拠を構えることになるLTSEは、資金注入が必要な新興企業と、そうした企業の株式取引をしたい投資家を結びつけ、新しい注目のプロジェクトから利益を得る機会を投資家に提供する。
Reutersの記事によれば、LTSEが目指しているのは、ユニークな「ガバナンスと議決権」のアプローチを促進すると同時に、株式公開企業にありがちな短期的なプレッシャーを軽減すること」だという。
Ries氏は、新興企業が四半期ごとの業績に縛られるのではなく、より長期的な利益や革新にフォーカスしてほしいと考えている。
それを可能にするために、LTSEの上場企業は通常の証券取引所では求められない、付加的なルールに準拠しなければならない。例えば、短期的な業績目標に基づいた、幹部に対する報酬の制限などだ。
ほかにも、主要目標の達成や全体的な事業の進捗などについて、高いレベルの透明性を求め、株の保有期間に応じて長期投資家の議決権を増やすルールを設けるという。
複数のテクノロジー企業や投資家が、LTSEへの参加意向を示しているが、現時点で具体的な情報は公表されていない。
新興企業のプロジェクトが成功すれば、世界中の投資家は早期から投資を行って、利益を得られるかもしれない。また新興企業は、資金調達の新たな門戸が開かれることで、より迅速に成長して、事業を拡大できる可能性がある。
このことは、プロジェクトが長期間十分にテストされないために、高リスクの新興企業や優良ではない企業が上場することにつながり、全体的な投資リスクが高まる可能性もある。しかし、成功する新興企業が生まれ、そうした企業に投資できるようになるまで、何年も経過するのが一般的だ。LTSEは、そうしたタイムラグを短縮できる。
Uberの新規株式公開(IPO)は創業から10年を経て実施されたが、米国時間5月10日に上場した同社の取引はIPO価格を下回り、低調な滑り出しとなった。一方、4月19日に上場したビデオ会議サービスのZoomは、公開価格の36ドルをはるかに上回り、65ドルの初値をつけた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。