NTTグループ再編の中で気になる東西会社の行方
今回、この実証実験を取り上げたのは、NTTグループの4社が共同で取り組むからだ。実は、NTTグループは今、大掛かりな再編の真っ最中で、今回の動きも関連があるのではないかというのが、筆者の推察である。
NTTグループ再編の動きを説明しておくと、NTTがグローバル事業の強化に向けて、グループ内の再編を実施すると発表したのは2018年8月。その後、NTT持ち株会社傘下に新たにグローバル持ち株会社を設立し、その傘下に、NTTコミュニケーションズ、NTTデータ、南アフリカのDimension Data、NTTセキュリティ、NTT Innovation Institute(NTTi3)の5社を移管した。
また、NTTコミュニケーションズ、Dimension Data、NTTセキュリティ、NTTi3の4社については、2019年7月をめどに、国内と海外(グローバル)に分けて事業再編する。東証一部に上場しているNTTデータについては、現在の経営形態のままグループ各社との連携を図り、同社の経営の独立性やブランドを維持するとしている。これら一連の動きを新設の組織も含めて描いたのが、図2である。
図2:NTTグループ再編の動き(出典:NTTコミュニケーションズ)
そして筆者が注目しているのは、2019年7月以降の国内事業の再編に、NTT東日本とNTT西日本のいわゆる東西会社、さらにはNTTドコモがどのように関係してくるかだ。
とくに、固定電話の契約減が続く東西会社をどう再編するかは、NTTグループの喫緊の課題となっている。両社ともそれぞれにリストラを進めているが、それとともに今後の展開で重要なのは、両社の特性やリソースをどう生かすかだろう。
今回の動きは、電話による特殊詐欺の対策ということで4社が共同で実証実験を行うことに違和感はないが、共有する技術やサービスが連携を深めていくと考えれば、今後のグループ再編の布石とも見て取れそうだ。