仮想化環境のバックアップ/リカバリソリューションを手掛けるVeeam Softwareは、2018年に好業績を達成し、2019年はエコシステムの拡大を通じてさらなる成長を狙うという。アジア太平洋・日本担当シニア・バイス・プレジデントのShaun McLagan氏は、「日本市場はイノベーションへの関心が高まっており、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)やハイブリッドクラウド、マルチクラウド、コンテナーなどへの取り組みに積極的だ。そこでのリスク低減に貢献したい」と話す。
2015年に日本市場へ参入して以降、事業が順調に拡大している。2017年に日本法人(ヴィーム・ソフトウェア)の執行役社長兼バイスプレジデントに就任した古舘正清氏は、「日本は後発だが各国市場の中でも最速ペースで成長しており、事業規模は当初の6倍になった。仮想化バックアップに対する認知が広まるにつれ、東京エレクトロンデバイスやSB C&Sなど多くチャネルパートナーを獲得できたことが大きい」と語る。
Veeam Softwareアジア太平洋・日本担当シニア・バイス・プレジデントのShaun McLagan氏(右)と、ヴィーム・ソフトウェア 執行役社長兼バイスプレジデントの古舘正清氏
国内では、2000年代後半に本格化したオンプレミス環境の仮想化や仮想化集約によるプライベートクラウドの導入を皮切りに、2010年代半ばからはパブリッククラウドも加えたハイブリッド/マルチクラウド環境が広がりつつある。McLagan氏によれば、こうしたシステム環境の変化に応じて、オンプレミスやクラウドで柔軟に利用できるライセンスモデルの導入、2万社超のクラウドパートナーとの協業などに取り組んできたという。
仮想化を前提としたシステム環境のバックアップが普及段階に入ったことで、McLagan氏はユーザーの主要な課題が「可用性」に移りつつあるとも指摘する。その対応の中では、ハードウェアベンダーとの協業を推進しているといい、Hewlett Packard Enterprise(HPE)やCisco Systems、NetAppらのサーバー・ストレージシステムやハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)に、あらかじめVeeamのソフトウェアを組み込んだビルドイン型のソリューションを展開。直近ではNutanixの「Nutanix Enterprise Cloud Platform」に完全統合した「Nutanix Mine with Veeam」もリリースしている。
さらに、近年は仮想サーバーからサーバーレス型のワークロードも次第に増えつつあり、「市場を注視しつつ、将来のコンテナーやKubernetesなどを利用する環境への対応も検討していきたい」(McLagan氏)という。
2019年の事業戦略は、これまでの基本路線を継続し、チャネルパートナーやSIパートナーなどのエコシステムをさらに拡大させるほか、日本でのテクニカルサポート体制も確立させる計画。古舘氏によれば、マルチクラウド環境に臨むユーザー企業の支援と、日本のハードウェアベンダーとの協業も推進することにより、2019年も2018年比で2倍の成長を目指す。
McLagan氏は、「グローバルでは年商10億ドルが視野に入り、アジア太平洋地域の中でも特に急成長を続ける日本を重点市場と位置付け、成長促進のために投資を拡大させていく」と話している。