セルフサービス型などのビジネスインテリジェンス(BI)ツールを提供するTableau Japanは5月14日にイベント「Data Day Out Tokyo」を開催。2200人以上の“データエンスージアスト(熱狂的支持者)”が集まり、そのうち7割がTableauユーザーだったという。イベントにあわせて来日した米本社プロダクトマーケティング担当バイスプレジデントMark Jewett(マーク・ジューエット)氏を中心にイベント翌日の5月15日にプレスラウンドテーブルを開催した。
Tableauが米国時間5月2日に発表した第1四半期の業績は総売り上げ2億8250万ドル(前年同期比15%増)だが、米国以外の売り上げがグローバル全体の3割にあたる8560万ドルとなり、米国主導からグローバルへ移りつつある。またアジア太平洋(APAC)も好調で特に日本市場が成長したという。
その背景について日本法人社長の佐藤豊氏は「データ中心に動く企業が増え、データの重要性を理解する層がエグゼクティブレベルで増えている。一言でいえば『データドリブンカルチャーの認知』」との認識を示した。
Tableau Japan 社長 佐藤豊氏
その一例として佐藤氏は「確かに5年前は(欧米と比較してデータドリブンは)遅れていた。今のスタートアップを見れば、日本の方が洗練されているし、大手IT企業もデータをKPI(主要評価指標)に用いる風土が広まった」と述べる一方で、興味深い一例を示した。
「情報システム部門は『やつらには使えない』、ビジネス部門は『ほしいものが出てこない』という部門間の仲違(たが)いがある。この部分を変えることで各部門の関わりに変化が生じ、データドリブンを可能にする企業も出ている。すべての企業がデータドリブンになれば、企業はもちろん日本全体も変わる」
他方で2018年から開始したパーペチュアル(永続)ライセンスからサブスクリプションライセンスへの移行も大きいと同社は分析する。「パーペチュアルではエンジニアもBIデータを見るだけでも同じ金額。ロールベース(役割単位)の展開オプションが好調で84%も増加した」(佐藤氏)
Tableau Japanは2018年にカスタマーサクセスチームを用意し、Tableauの製品やサービスを自社ビジネスに活用する企業の継続的成長を目指している。背景には同社が提唱するデータドリブンカルチャーの醸成がある。
「すべての人がデータを扱えるのが理想。だが、データ分析に対する知見やコーディング能力といった人の問題が残る。現在日本でも24社がデータドリブンに成功しているが、次の段階に押し上げるため、(年内に)カスタマーサクセスサミットを開催する」(佐藤氏)という。このようにデータ分析にとどまらず、利用する“人”に焦点を当てる同社は次のように警鐘を鳴らした。
「日本は雇用課題に直面している。テクノロジーによる効率性向上は可能だが、重要なのは『次のアクション』。それを考えるのは人だ。課題設定能力などを高めることで、プロセス変革まで考えなければならない」(佐藤氏)と、データを軸に思考することで個人から部門、そして組織全体の変革プロセスを提唱した。
そのデータドリブンカルチャーを醸成する際に欠かせないのが(1)言語に依存する、(2)柔軟性と適応性を備える、(3)他者と共有する――の3つであると述べたのは、前述のJewett氏だ。