米警察が顔認識技術を使った捜査に不完全な画像を使用か - (page 2)

Alfred Ng (CNET News) 翻訳校正: 編集部

2019-05-17 13:33

 ニューヨーク市警察をはじめとする約15州の警察では、はっきりした画像が入に入らない場合、似顔絵を使用して顔認識検索を行うことが許されている。

 しかし複数の研究で、似顔絵を使って顔認識検索を行っても正しい検索結果は得られないと指摘されている。米国立標準技術研究所(NIST)の研究によれば、似顔絵を使った検索では誤り率が非常に高く、「似顔絵を使った検索の大半は失敗する」という。

 また、ジョージタウン大学ローセンターは、警察は手元の写真に顔の特徴が不足している場合に、写真を元に新しい顔を生成することも明らかにした。ニューヨーク市警察はあるケースで、検索の際に逮捕者の顔写真データと比較しやすいように、Googleで見つけた画像で編集して閉じた口を付け加えたという。目についても同様の加工が行われることがある。

 レポートでは、顔認識検索にアップロードされている写真は、多くの部分が加工されたものである可能性があると指摘している。

Georgetown Law Center on Privacy & Technology
提供:Georgetown Law Center on Privacy & Technology

 警察は、顔認識は決定的な証拠として利用されるものではなく、捜査の手がかりとして使用するだけだと主張しているが、研究者らは、顔認識検索を行う以上の捜査活動をあまり行っていないケースも見られると述べている。

 あるケースでは、顔認識検索で一致した画像を目撃者に送り、「これが犯人ですか」と尋ねていた。レポートによれば、ニューヨーク市警察はこの確認だけで容疑者を逮捕したという。

 Moroney刑事は、「顔認識は手がかりでしかない。人物を特定するものではなく、また逮捕するための相当な理由となるものでもない。顔認識で一致したことのみに基づいて逮捕された人はいない」と述べた。

 ニューヨーク市警察は、顔認識プログラムは地下鉄の車掌に小便をかけた男や、地下鉄の乗客を線路に押し出した容疑者を発見し、逮捕するのに使われたと述べている。また、顔認識技術は殺人事件や強姦、強盗に関連する容疑者逮捕につながったという。

 Moroney刑事は、「ニューヨーク市警察は常にさまざまな既存の手続きを再評価しており、顔認識技術の利用手続きについても見直しを行っている最中だ」と述べている。

 ニューヨーク市警察は、顔認識検索に使用しているデータの品質についてはコメントしなかった。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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