PCの遠隔消去サービスで閉域網活用--ワンビとさくらインターネットが協業

藤代格 (編集部)

2019-05-20 07:15

 ワンビ(新宿区)が開発、提供する情報漏えい対策サービス「TRUST DELETE prime」に、管理サーバーとの定期通信に閉域網を活用するラインアップが追加される。さくらインターネット(大阪市北区)と協業し、高セキュリティなサービスとなる「TRUST DELETE prime with さくらのセキュアモバイルコネクト」として8月からの提供を予定している。5月16日、両社が共同で発表した。

 税別販売価格は100ライセンスを購入する場合、1ライセンスあたり1万530円になるという。SIMの発行手数料は別途だが、基本利用料などネットワークの年間サービス利用料を含むという。2020年度末までに3万ライセンスの販売を目指す。

 TRUST DELETE primeは、PC紛失時に遠隔操作でロック、データ消去などができるサービス。フォルダやドライブ単位に留まらず、OSを含むドライブ上の全データを復元不可能な状態で消去できるという。自律制御も設定もできる。

ワンビの加藤氏
ワンビの加藤氏

 動作設定や各種命令の受信、実行結果通知など、インターネットとの接続が必要だった部分にさくらインターネットの「さくらのセキュアモバイルコネクト」を活用する。IaaS「さくらのクラウド」とLTE閉域網でつなげたネットワークをSIMで提供するサービスで、通信速度制限はなく、国内3つのキャリアを選択可能。SIMロックがかかるPCでも活用しやすいという。さくらインターネットの代表取締役社長の田中邦裕氏は「キャリア選択可能な唯一のSIMと言う点に加え、基本利用料が1枚あたり12円と安価なスタート価格、標準で高いセキュリティ環境も備えている」と特長を説明する。

 ワンビの代表取締役社長の加藤貴氏は、「(TRUST DELETEとの)やり取りのためだけにSIMサービスを別途契約している事例が多かった」と今回の協業に至った理由を説明。IoT/M2M向けとして提供するセキュアモバイルコネクトだが、月額の課金形式でなくライセンスへの組み込み形態が取れる点も含め選択したと語る。

サービス概要(提供:ワンビ)
サービス概要(提供:ワンビ)

 働き方改革関連法案の施行、東京五輪の混雑緩和を目指すプロジェクト「2020TDM推進プロジェクト」など、在宅勤務やリモートワークが標準的な働き方になりつつあるという社会的な背景も理由にあるという。

 ノートPCの割合を見てもLTE対応が増加。詳細な対応比率はメーカーごとに異なると前置きした上で、「対応PCは現在は約2割ほどだが、2020年度末には半数ほどでの対応を目指すメーカーが多い」(加藤氏)。実際の調査事例をいくつか引き合いに出し、ユーザーの機運の高まりを説明する。

LTE対応PCに対するユーザー調査(提供:ワンビ)
LTE対応PCに対するユーザー調査(提供:ワンビ)

 一方、情報漏えいの原因としてはヒューマンエラーが多く、1台あたりの平均想定損害賠償額が6億2811万円に上るという調査を説明。「ノートPCを外で使える企業が増え、ここ2年ほどの働く意識の変化を感じている。LTEを活用してなくならないヒューマンエラー部分のセキュリティを高めていきたい」(加藤氏)

情報漏えい原因(提供:ワンビ)
情報漏えい原因(提供:ワンビ)
協業したワンビの加藤氏とさくらインターネットの田中氏
協業したワンビの加藤氏とさくらインターネットの田中氏

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