IBMとレッドハットが目指す未来

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2019-05-27 06:30

 筆者はLinus Torvalds氏が大学院生の頃から、LinuxやIBMRed Hatをウォッチしてきている。このため、IBMがRed Hatを340億ドルで買収するというニュースを聞いて以来、その成り行きから目が離せなくなっている。また、IBMやRed Hatに勤務する多くの従業員からも、「Red Hat Summit 2019」の場で話を聞いた。本記事では、買収が完了した暁に何が起こるのかについて、筆者の考えを述べてみたい。

 筆者は、Red Hatが実務的な面すべてにおいて、IBM内の独立した企業として操業し続けると確信している。IBMの最高経営責任者(CEO)Ginni Rometty氏もRed HatのCEOであるJim Whitehurst氏との対談のなかで「340億ドルをドブに捨てるつもりはない」と語り、「彼らを破滅させるために買収するわけではない。これはわれわれの顧客にとってウィンウィンの話であり、イノベーションを加速させるための道だ」と続けている。

 要するに「Jim(Whitehurst氏)と私(Rometty氏)はRed Hatが独立部門として存続するべきだという点で合意している」ということだ。

 両社はずっとこのように述べてきている。そして筆者は彼らを信じている。

 現実に目を向けてみよう。これはIBMにとって、のるかそるかの決断であり、これまでに例のない、最大のテクノロジ契約だ。IBMは売上高の減少に歯止めをかけたものの、GoogleやMicrosoft、Amazon Web Services(AWS)といったライバル企業にシェアを奪われ続けている

 IBMはクラウド時代に向けて自社を改革しようとしているが、今のところ順風満帆とは言えない状態だ。RightScaleの「2018 State of the Cloud」(2018年におけるクラウドの状況)レポートによると、IBMは「AWS」や「Microsoft Azure」「Google Cloud」に後れを取っている。IBMは新たな血を必要としているのだ。そしてRed Hatは、「Kubernetes」ベースのハイブリッドクラウドプログラムと、トップクラスの従業員という力をIBMに与えることになる。

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