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映像監視のクラウド化で用途を広げる--イーグルアイネットワークスのドレイコCEO

國谷武史 (編集部)

2019-05-28 06:00

 近年、監視カメラが記録する映像データが、防犯に限らずさまざまなシーンで活用され始めた。それが可能になった背景の1つが、映像データをクラウドで利用する仕組みだ。クラウド映像監視ソリューションを手掛けるEagle Eye Networksの創業者でCEO(最高経営責任者)のDean Drako氏は、「顧客のための高品位なサービスを実現するために起業した」と話す。

 かつての監視カメラシステムは、「CCTV(Closed Circuit Television)」とも呼ばれ、カメラと同軸ケーブル、ビデオレコーダーを基本構成に、建物などの現場に設置してカメラ監視による防犯と犯行の映像記録が主な用途だった。2000年代半ばからITの技術が採用されるようになり、カメラやレコーダー機器のデジタル化とネットワークのIP化が進んだことで、ネットワーク経由で映像データを活用するという環境が整っていった。

Eagle Eye Networks 創業者 CEOのDean Drako氏。日本法人代表も兼務する
Eagle Eye Networks 創業者 CEOのDean Drako氏。日本法人代表も兼務する

 Drako氏は、セキュリティーベンダーBarracuda Networksの創業者で元CEOとして知られる。Eagle Eye Networksの起業は2012年で、クラウド映像監視の分野では草分け的な存在で、「離れた場所にあるオフィスなどの監視映像を顧客サポートなどに活用したいと考えたが、当時は容易にそれができる仕組みが存在しなかった。そこでカメラの映像データを管理するVMS(ビデオ管理システム)をSaaS化した」(Drako氏)という。

 同じセキュリティーでも、Barracuda Networksが得意とするサイバーセキュリティー分野と映像監視などの物理セキュリティー分野では、必要とされる仕組みやサービスなどが大きく異なる。だが、監視カメラの映像データを単にクラウドで利用するサービスでは、データやネットワーク、ユーザー情報などがサイバーセキュリティーのリスクにさらされてしまう。

 このためイーグルアイネットワークスのサービス開発では、データや通信経路の暗号化、ユーザー認証、アクセス制御や帯域制御、接続機器のロックダウン対応、脅威検知など、サイバーセキュリティーの技術やノウハウを導入し、ストレージの3重化によって冗長性を確保した。業界標準仕様のIPカメラなどを利用でき、カメラから専用アプライアンスを介してデータセンターと接続する。

 現在では、世界11カ所にデータセンターを展開し、日本でも東京に2カ所を確保する。顧客数は非公開だが、「業種は多岐にわたり、2015年から2018年は年率93%ペースで成長を続けている」(Drako氏)

 ユーザーは、ウェブブラウザーでどこからでも自身のデータにアクセスできる。複数拠点の一元的な遠隔監視を低コストに行えるため、例えば、無人店舗なら監視映像で顧客の来店を検知し、本部の人員が遠隔で効率的に応対できるようになるという。REST API経由で画像解析などの外部機能や各種業務システムと連携し、CRMシステムと連携した接客品質の改善や、機械学習技術を組み合わせた高度な動体検知などにも活用できるとしている。

 昨今では監視カメラなどの映像システムを手掛けるメーカー各社も、クラウド化や人工知能(AI)を利用した画像解析などを軸に、映像の活用拡大に向けたソリューション開発に注力する状況にある。Drako氏は、2月には日本法人のオフィスを2倍に拡張しており、「映像を(クラウドストレージサービスの)Boxのような感覚で安全かつ手軽に利用できるシーンを広げていく。2019年のビジネスも2倍の成長ペースを維持したい」と、クラウド映像監視市場の拡大に期待を寄せる。

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