RPAへの注目度に関しては、首都圏は生産性向上だが、地方は労働力確保がキーワードとなる。「ゴールデンウィーク明けに、とあるイベントで顧客対応していた。以前は首都圏の方が多かったものの、(同イベントでは)富山県や新潟県、熊本県など遠方から来られたお客さまが多い。自社の効率化や人材不足に対してRPAを本気で求めている」(小野田氏)という。地方の人材不足問題を浮き彫りにする一例だ。
他方で首都圏は「大手企業は導入8割超えし、(新規導入案件は)中堅中小企業にシフトしている。大手企業は2巡目に入り、ツール選定や運用方法など課題感に移っている」(相田氏)

パーソルプロセス&テクノロジー ワークスイッチ事業部 RPAソリューション統括部 RPA導入支援部隊 ゼネラルマネージャー 相田顕信氏
RPA導入の成功を左右する差異として、両社は「推進担当者のリード力や覚悟」「社外パートナーとの共奏」「RPAに対するポジティブな意識醸成」の3点を掲げた。
「RPAは魔法ではない。われわれは強い意思を持った担当者のロードアップに寄り添っていく。(担当者次第で)推進スピードも導入のゴールも大きく変化する」(小野田氏)と企業側の主体性を求めた。
RPAの文脈では、手慣れた業務がなくなるという“現場の抵抗感”は珍しくない話だが、パーソルテンプスタッフの小野田氏は「人が本当にやるべき仕事は何かが突き詰められている。(ロボットによって単純業務から開放された人々は)新しいものを生み出さなければならない。だが、派遣スタッフも危機感を持っているため、われわれは(RPAスタッフを派遣する)RPAアソシエイツを立ち上げた」

パーソルテンプスタッフ RPA営業推進室 室長 兼 「パーソルのRPA」セールス第2グループマネージャー 小野田聖子氏
RPAアソシエイツのスタッフとして派遣した場合、他の派遣スタッフよりも時給換算で200~300円アップするそうだが、「年収に置き換えると約50万円アップとかなり大きい。また、自分(が顧客先でロボットを開発し、現場で喜ばれると)の価値を認識できる」(小野田氏)と有用性を強調した。
パーソルHDはRPA導入後の人材活用として2つの方針を提案する。
「業務効率化を実現できた工数分の社員を、人員移動などにより価値のある仕事に従事。主にバックオフィス部門のRPAを導入し、その人材を営業などのプロフィット部門に異動させるケースは大手企業で多く見られる。もう1つは、これまで着手できなかった主に企画業務に従事することで社員が一段上の仕事に着手し、人材成長につなげていくケース。こちらは現場の抵抗感も抑えられるし、選択する企業も増えている」(梶田氏)
RPAツール自体の日用品化や業務内容の変化など多くことを語りつつも、最後は「まだまだロボットでは満たせない部分」(梶田氏)と冒頭の言葉に至った。少なくとも今後5年間は人工知能(AI)で代替できない人間固有の独自能力が今以上に求められるのかもしれない。