テラデータ、次世代分析基盤「Teradata Vantage」をサービス化--分析は「回答」を求める手段

阿久津良和 2019年05月23日 06時00分

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 日本テラデータは5月22日、都内で年次イベント「Teradata Universe Tokyo 2019」を開催した。基調講演および記者会見に登壇した代表取締役社長の高橋倫二氏は、同イベントサブタイトル「今こそ『答え』を手に入れよう」について触れ、「その答えとは『ビジネス上の重要な決断に必要となる貴重な情報』」と述べた。カンタス航空の事例なども紹介している。

 カンタス航空では、同社が持つデータとして風速や気温、乗客数や荷物量など1時間あたり200万ポイントに及ぶ。「個別のデータを分析しても解決策にたどり着けない。データを掛け合わせて分析することで、フラップ角度やエンジン回転数、飛行ルートの改善という解を得た。同社は1.5%の燃費向上に成功し、日本円で約50億円のコスト削減を実現した」(高橋氏)という。

日本テラデータ 代表取締役社長の高橋倫二氏
日本テラデータ 代表取締役社長の高橋倫二氏

 よく、「分析は投資に見合ったリターンはあるのか」という声が聞かれるが、そのような懸念に対して高橋氏は、「1200万以上のユーザーが11兆以上のクエリを出し、840エクサバイト以上のデータを活用した1000以上のユースケースをグローバルで持つ」と、分析の意義を強調する。そして、幾つかの新しい取り組みを発表した。

 その中の1つとなる「Teradata Vantage as-a-service through AWS Marketplace」は、保守や管理部分をサービス化した「VaaS(Vantage as-a-service)」を、Amazon Web Services(AWS)のマーケットプレースで購入できるようにしたもの。また、「Teradata Vantage as-a-service for On-Premises」として、顧客が契約したデータセンターにおいてVaaSを運用するオプションも提供する。オンプレミスでTeradata Vantageを展開する企業向けに、ハイブリッドクラウドを用いた災害復旧環境で業務継続性を提供するオプション「Teradata Vantage Disaster Recovery as-a-Service」を発表した。一連のVaaSは、既存の「IntelliCloud」ブランドを冠した既存機能への追加または置き換える存在となる。

 また、52都市で200以上のデータセンターサービスを展開するエクイニクス・ジャパンやFusicとの連携も発表した。日本テラデータは、エクイニクス・ジャパンとともに、オンプレミスとパブリッククラウド間のセキュア接続でハイブリッドクラウドの分析環境の提供や、マルチクラウド環境の提供、複数の国にまたがる各国データ収集基盤の構築などを可能とする。クラウド上に仮想デバイスを作成し、開発中のサーバーに疑似データを送信する「mockmock」を提供するFusicとの連携は、新たなビジネスチャンス創出を目指す。さらに、7月24~25日に都内でハンズオンイベント「データサイエンス・エクスペリエンス東京」を開催することも明らかにした。

 イベントでは、米Teradataのプレジデント兼CEO(最高経営責任者)のOliver Ratzesberger氏も登壇。同氏は1月に就任し、「テラデータはデータの力でビジネスと人々の生活をより良くする」と、テラデータのビジョンを強調した。

 国内では、ヤフーが「Teradata Vantage」を初めて本番稼働させたとして事例を紹介し、Ratzesberger氏は、昨今のビジネス環境が「サイロ化」という課題を抱えていると語った。「この20年間におけるテクノロジーの爆発的な拡大は、顧客に取って大きな課題を残した。部門ごとに異なるソリューションを導入するため、組織内に多数のサイロが生まれてしまった。一説には70%が複雑性の管理に費やされている」

 この課題を把握する企業経営者が求めるものは、「ビジネスのシンプル化」「オペレーション体験の導入」「意思決定のリスク軽減」だと指摘し、Ratzesberger氏は「その回答がVaaSだ」と説明した。

Teradata プレジデント兼CEOのOliver Ratzesberger氏
Teradata プレジデント兼CEOのOliver Ratzesberger氏

 同日の記者会見では、CMO(最高マーケティング責任者)のMartyn Etherington氏が、新ブランドの戦略を紹介、ゴールを「顧客と市場の認知をリセットする」と位置付け、ブランド価値を制限する部分はそぎ落とし、「われわれが持つブランドの良さを愚直に訴求していく」と述べた。

 「オムニプレゼンス(遍在)」を鍵に掲げるEtherington氏は、2018年10月に開催したグローバルカンファレンス「Teradata Analytics Universe 2018」での基調講演から生まれたキーワード「Stop Building “Analytics.” Invest in Answers」を用いて、「分析だけでは解決できない。顧客は未知の領域に対する答えを求めている」と説明、過去6カ月のブランド刷新結果として、10%の案件増加や自社サイトへのターゲット顧客訪問数が187%に増加したとアピールした。

Teradata CMOのMartyn Etherington氏
Teradata CMOのMartyn Etherington氏

 日本テラデータの高橋氏は、直近の業績について「数字を明らかにできないが、2018年は大きく業績を伸ばすことができた。第1四半期、現在の第2四半期も成長過程にある」との進展具合を示し、国内の売上伸び率は2桁台で順調にあることを強調した。注力する顧客の産業領域は金融、自動車、Eコーマス、通信で、以前と同様だが、「全ての主要部門で好調だ。新規顧客も獲得した」という。

 また、顧客の変化として「以前は日本の事例を求められることが多かったものの、最近はグローバルの事例を欲する顧客が増えてきた。また、銀行が小売の事例を求めるなど、(国や業種の)垣根を越えたグローバルな情報を欲している」(高橋氏)という。さらにイベントタイトルに含めた「答え」についても、「『答え』からスタートするという考え方は非常に正しい。顧客は『分析のための分析』を行っているケースが多い」と説明する。“データドリブン”が当然の時代になり、VaaSが分析というアプローチを次のステージに推し進める可能性が高いとする。

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