Appleは、ユーザーのインターネット上での行動をトラッキングして個人情報を収集することなく、どのような場合に広告がユーザーを購入へと導いたかを広告主が把握できるようにする新しいブラウザー技術を開発した。
Appleは米国時間5月22日、開発者が最新機能をテストできる「Safari Technology Preview 82」ブラウザーに組み込まれている、「Privacy Preserving Ad Click Attribution」と呼ばれる計画の詳細を明らかにした。Appleはこれを、すべてのブラウザーにおいて標準として採用できるものとして提案している。
「多くのブラウザーでクロスサイトトラッキングの問題が認識されるようになる中、プライバシーの侵害につながる広告クリックのアトリビューションは過去のものになると考える必要がある」と、AppleのプログラマーであるJohn Wilander氏は、この新技術に関するブログ記事で述べた。同氏は、Safariにこれまで実装されていた「Intelligent Tracking Prevention」(ITP)プロジェクトの開発者だった人物だ。
AppleのこれまでのITP技術は、クッキー(特にサードパーティークッキー)に利用制限をかけ、広告技術業界の反感を買っていた。
現在の広告技術は、ブラウザーに保存されるクッキーと呼ばれる小さなテキストファイルを利用して、ユーザーがウェブサイト間を移動する様子をトラッキングすることが多い。クッキーからは、ユーザーがあるサイトで特定の広告を目にし、その後別のサイトで広告の商品を購入したことなどを記録することが可能だ。情報は広告主にとって非常に有用である一方で、オンラインでの行動に関する大量のデータが収集されてしまう。
Appleの新たなアプローチでは、ユーザーをトラッキングする広告企業に処理を委ねるのではなく、ブラウザーが広告の有効性を評価する。結果は24〜48時間の範囲内でランダムな時差を設けて報告されるため、広告主は、ユーザーの行動のタイミングをもとにユーザーを特定することはできない。
Appleの提案の注目すべき点の1つは、ブラウザーがどのような広告活動を測定しているのかを把握できないようにしていることだ。「ブラウザーベンダーは、ユーザーの広告クリックやコンバージョンについて知るべきではない」とWilander氏は言う。つまり、これを採用すればGoogleのような企業も10億人以上のChromeユーザーが何をしようとしているのかを把握できなくなるということだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。