現地時間5月23日より、欧州議会議員選挙の投票が始まる。議論が過熱するにつれて、主要なニュースサイトのコメント欄はおそらく感情的な意見や嫌がらせ、インターネットでよくある不快な行為で埋め尽くされる可能性がある。
フランスでは、不適切なオンラインコメントに対抗するために、Alphabet傘下のシンクタンクJigsawが人工知能(AI)を利用して荒らしに対抗する「Perspective」と「Tune」のフランス語版を発表した。
Perspective APIはまずフランスの新聞社Le Mondeのコメント欄向けに提供され、その後、ほかのパブリッシャーも利用できるようになる予定だ。
22日に提供の始まった、Le Mondeのコメントシステムの新バージョンでは、今週の2019年欧州議会議員選挙を前に、JigsawのPerspective APIを使用して、読者にニュースに関する見解を共有するよう促す。
Perspectiveの機械学習モデルの狙いは、コメントが議論にとって有害とみなされるかどうか見極めることにある。このモデルは、インターネットのコメントに対する人間の反応に基づいて訓練された。回答者はそれらのコメントを「非常に有害」から「非常に健全」までの基準で評価した。
PerspectiveはThe New York Timesやコメントプラットフォームの「Disqus」、スペインの新聞社El Paisですでに使われている。22日には、「Google Chrome」拡張機能であるTuneのフランス語版も公開された。これを使うと、ユーザーはオンラインコメントでどこまで有害な投稿を表示させるかを調節できる。
Jigsawはコメント欄の閉鎖に代わる対策として、Perspectiveをオンラインパブリッシャーに売り込んでいる。パブリッシャーには、大量のコメントに対応するリソースが不足していることが多いからだ。
PerspectiveのAIは、読者との対話の構築を助けるツール群をパブリッシャーやライター、編集者に提供する、とJigsawは話す。
Jigsawによると、The New York TimesはPerspectiveを使用して、コメント欄が開放された記事の数を300%増やしたという。El Paisでも、コメントの有害性が平均7%減少した一方で、コメントの総数は19%増加したという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。