だが、全てを水冷でカバーしようとは考えていないという。
「競合他社は、水冷によって全てを冷却することを目指しているが、デルは、既に導入している空調システムを活用することを前提としている。必要なところだけを水冷にすることで、投資を無駄にしないという考え方がある」(水口氏)
メモリーやパワーサプライなどに対しては、最新の空冷システムによって冷却する。さらに、シュナイダーエレクトリックが提案する、空気をコントロールするコンテインメントシステムによる効率化も図っているという。
水口氏は、「空冷の場合、サーバーに冷たい空気を送り込むというよりも、さらに重要なのが、熱い排熱を効率的に回収して、それを冷やして循環すること。サーバーの背面同士を組み合わせて、熱い排熱を吸ってそれを冷やしたり、ラック単位で熱を処理したりといった提案も可能になる。これによって、冷却に関するイニシャルコストやランニングコストを削減できる」と語る。
一方で冷却システムの提案、販売、保守体制でも、デルは優位性を発揮できることを強調する。
「配管工事を含めて、さまざまなパターンでフレキシブルな提案を行えるのが特徴。例えば、構成シミュレーションによって、サーバー台数に応じた最適な冷却システムを提案するほか、通常運転時の温度分布イメージを可視化するだけでなく、冷却システムが1台停止した際の温度分布も確認でき、冷却能力や風量の冗長性についても確認ができる」という。

シミュレーションイメージ
デルでは、国内に法人を持つシュナイダーエレクトリックとの連携強化だけでなく、国内に法人を持たないCool ITシステムの製品の販売、保守/サポート体制についても、デルと国内サービスプロハイダーとの連携によって独自に構築。水冷システムの保守についても、安心できる体制を整えているという。特にCool ITシステムは、米国における連携の実績を反映した取り組みも進めているところだと話す。
「専用のサーバーラックを必要とせずに、一般的なラックに水冷サーバーを搭載可能であるフレキシビリティー、コンポーネントの冗長化や競合他社を上回る最新技術の提案、さらには、各冷却システムの提案および保守を行える国内体制を整えているのがデルの特徴だ。データセンターにおいて注目を集めるアクセラレーテッドコンピューティングにおける冷却においても、デルは最適な冷却システムの提案と、万全の国内保守体制を実現する」と強調して見せた。

冷却システムにおける保守体制