Microsoft傘下のコードホスティングサービスであるGitHubは、プロジェクトの支援者がコントリビューターの仕事を資金的に支える新たな仕組み「GitHub Sponsors」を発表した。この仕組みをスタートさせるにあたり、GitHubは最初の1年間、5000ドル(約55万円)を上限として寄付に同額を上乗せするという。
GitHubがこの新たな寄付プラットフォームを発表したのは、現地時間5月23日にドイツのベルリンで開催されたカンファレンス「GitHub Satellite」でのことだ。
GitHub Sponsorsの利用料金は無料で、最初の1年間はGitHubが決済処理手数料を負担する。GitHub Sponsorsからの支払いは、同社の事業が提供されているすべての国でサポートされている。同社はこの仕組みを小規模なベータテストとしてスタートさせる予定で、現在は、テストに参加して支援を受けたい開発者の待機リストへの登録を受け付けている。
このプラットフォームは、GitHubのユーザーが、質問に答えたり、Issueのトリアージを行ったり、コードをマージしたりしたコントリビューターを資金的に援助できるようにするものだ。ユーザーの寄付は、支援を受けるコントリビューターのプロフィールから行える。
またGitHubは、オープンソースで、依存しているライブラリーの自動更新などを行う仕組みを提供している企業Dependabotを買収したと発表した。すべてのGitHubユーザーは、5月23日付でこのサービスを無料で利用できるようになっている。
GitHubは、同社のセキュリティアラートサービスを強化するため、オープンソースセキュリティ企業のWhiteSourceとパートナーシップを結び、脆弱性に関するデータを入手することも明らかにした。
また同社の最高経営責任者(CEO)Nat Friedman氏は、カンファレンスの基調講演で、Microsoftによる買収に不満を感じた開発者の大量流出は起きていないと語った。
同氏は、大規模なオープンソースコミュニティがGitHubに移る例も出てきていると述べ、その例としてLLVMを挙げた。Apache Foundationも、ApacheのすべてのプロジェクトをGitHubに移行することを決めている。
Friedman氏によれば、Fortune 50企業の半数以上がGitHubを利用しているほか、200万以上の組織が作業にGitHubを利用しているという。
同社は、企業が社内の開発者だけが参照可能なリポジトリを作成できる社内向けリポジトリ(Internal repository)のベータテストを開始したことも明らかにした。企業ユーザー向けに、依存関係に関する情報を一覧できる新機能も追加された。
さらにGitHubは、ベータ版の機能として「Triage」と「Maintain」という2つのユーザーロールを新たに導入した。これによって管理者は、writeパーミッションやリポジトリの設定を変更する権限を渡すことなく、信頼できるコントリビューターにトリアージや管理を任せられるようになる。
提供:Liam Tung
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。