両方で190言語に対応したABBYY製OCRエンジンを標準で搭載する。従来はオープンソースソフトウェア(OSS)の「Tesseract-OCR」など複数のOCRエンジンを選択できたが、そこにABBYYを加えた理由としては、「(Tesseractは)日本を含めたアジア圏の言語に弱い」(秋本氏)と説明。非定型帳票など要件に応じて罫線の調整といったカスタマイズにも対応する。
AAEの新版では、Citrixの仮想環境で動作するアプリケーションもローカルと同じようにロボットで操作する「Remote Agent for Citrix」を新たに標準搭載した。ローカルとリモート環境にエージェントをインストールすることで、ビットマップオブジェクトをローカル環境と同じように認識し、ロボットを作成、実行できるという。
ウェブサイトを開く「Launch Website」コマンドはGoogle ChromeとMicrosoft Edgeに対応。ロボットとシステム間でデータを送受信できるAPI、ロボットのステータスを取得するAPIを新たにサポートした。通信プロトコル「SOAP 1.2」にも対応。「Terminal Emulator」コマンド使用時のファンクションキーや特殊キーによる処理改善、最新版Flashの自動化対応も加わっている。
IQ Botの新機能は各クライアントへのアプリケーションのインストールを不要にして、ウェブブラウザ経由ですべての操作を可能にした。また、前版であるIQ Bot 5.3と比較して認識精度が109%に向上。複数ページにまたがる帳票のテーブルを適切に抽出し、チェックボックスの認識も可能とした。
UIが日本語化されたIQ Bot
システム管理者向け新機能としては、セキュリティ情報イベント管理システム(SIEM)との連携が大きい。AAEとIQ Botは以前から独自に監査ログを取得していたが、最新版からSIEMツールへSyslog形式で出力可能になるため、ログ管理の負担を軽減する。
また、Active Directory(AD)の自動検出機能も新たに加わった。以前からADに対応しているが、インストール時にADサーバーの指定が必要だった。そのためAD情報変更時は操作が必要だったが、最新版からはADトポロジーの変更にも追従するため、部門管理者の負担も解消されると期待できる。
セキュリティ面では、AAEにControl Roomからロール(役割)で許可されたユーザーがキーの生成を可能とするAPI認証や、Credential Vaultのパスワード属性を持つ資格情報変数値をテキストオブジェクトへ書き込み不可にすることで、ロボットによるシステムアクセス時の安全性確保が加わる。
細部ではリバースプロキシー認証のサポートやロボットの強制終了機能も追加された。IQ Botも平文で格納していたドキュメントデータを暗号化し、アプリケーションセキュリティに焦点を当てたクラウドベースのテストサービスであり、脆弱性を特定できる「Veracode」のレベル5を取得している。秋本氏は「AAEは取得済みだった。自分が知る限りでは(全RPAソリューションがVeracodeレベル5を取得するのは)弊社のみ」とアピールした。