コクヨは5月27日、天板の角度が調整できるオフィスデスク「UPTIS(アプティス)」を発表した。6月3日から発売する。片面トレータイプは13万2000円から。ディスプレイ台やPCハンガーなど各種オプションも用意する。
コクヨが3月、6178人を対象に調査した内容によれば、約8割のオフィスワーカーが姿勢の悪さを実感し、そのうち約3割は「かなり悪い」と自覚。約9割は勤務中の不調感を自覚し、座位姿勢との相関性を確認している。そのうち約9割が生産性の低下を感じているという。
さらに全体の約6割がオフィス家具に対する「良い姿勢への配慮不足」を感じている。約6割が会社のデスクワーク環境に不満を覚え、環境への満足度が高い人ほど、働き甲斐や自社への愛着を持つ傾向にあるとしている。同調査に回答した約9割が勤務時間中に健康や体調管理を意識しておらず、「健康や体調管理のため勤務時間中を活用したい」と述べた。
400人の役員と800人の会社員、計1200人を対象にした2018年3月の別の調査によれば、最も長く座っている職種トップ3は「企画・マーケティング」「デザイナー・クリエイター」「ITエンジニア」が順に並ぶ。ちなみにトップの平均時間は8時間17分、ITエンジニアは7時間40分だった。
コクヨ 上席執行役員 ファニチャー事業本部長 坂上浩三氏
このように多くの課題を抱えるデスクワーク環境だが、コクヨ 上席執行役員 ファニチャー事業本部長 坂上浩三氏は「社会課題を解決したいという思いを持っている」と主張。「各企業は『時間』『場所』といったアプローチでワークライフバランスを見直しているが、弊社は労働時間中を快適にする『健康』に寄与したい」(坂上氏)とUPTISの開発理由を述べた。
総務省の「平成29年度通信利用動向調査の結果」によれば、PCの利用率は72.5%、スマートフォンに代表される携帯デバイスは94.8%に達する。この情報をもとに「プログラマーやSE(システムエンジニア)など長時間の同じ姿勢が負担となり、ストレートネックの発生率が増加する」と警鐘を鳴らすのが、さかいクリニックグループ 代表 酒井慎太郎氏。
さかいクリニックグループ 代表 酒井慎太郎氏
同氏の解説によれば、フリーアドレス制やテレワークを導入する企業の増加でノートPCの利用率が高まっているが、デスクトップPCと比べるとノートPCはディスプレイ位置が低いため、よりうつむき姿勢になる傾向が高まり、首への負担が増加するという。
酒井氏の説明によると、人間の頭部は体重の10%ほどの重量があり、体重60㎏であれば、6㎏となる。うつむき姿勢になると重量がかかり、30度傾くと18㎏、60度の傾きでは27㎏におよび、「小学校3年男子が(首に)ぶら下がっている状態」(酒井氏)だという。
長年この姿勢を続けると椎間板症やヘルニアが発生し、手のしびれや物をつかむ動作に支障を来す。同氏の治療院を訪れる患者も「(首に問題を抱える方が)10年前に比べると数倍に増え、若年層も増加傾向にある」(酒井氏)そうだ。