企業のITシステムは将来的に、複数のクラウドを連携させる形になるのではないか、との見方から「マルチクラウド」の注目度が高まっている。ただ、どうも都合のいい言葉として使われているような気がしてならない。今後、環境を整備していかなければならないのなら、今の段階で課題にもしっかりと目を向ける必要がある。果たして、どんな課題があるか。
IIJがマルチクラウド関連サービスを発表
インターネットイニシアティブ(IIJ)が先頃、マルチクラウドに関連する新サービスを発表した。顧客サイトとGoogleのクラウドサービス「Google Cloud Platform(GCP)」間を、IIJの専用プライベートネットワークを介して閉域網で接続する「IIJクラウドエクスチェンジサービス for GCP Partner Interconnect」と呼ぶサービスである。
このサービスを利用すれば、自社ネットワークからGCP上のリージョンまで、インターネットを介さずIIJのセキュアな閉域環境で接続できる。「IIJクラウドエクスチェンジサービス」ではかねて、同社のIaaS型サービス「IIJ GIOインフラストラクチャーP2」や「Microsoft Azure」「Microsoft Office 365」、「Amazon Web Services(AWS)」と顧客サイト間の閉域接続サービスを提供してきた。
さらに、今回のサービスの追加により、顧客は安全かつシームレスなネットワーク環境下で、GCPや各クラウドの特性に応じたクラウドサービスを選択して、マルチクラウド環境を柔軟に構築できるようになるとしている。
発表会見では、IIJの四倉章平システムクラウド本部サービス統括部アライアンス担当部長と、小野原雄平ネットワーククラウド本部ネットワークサービス課長が説明に立った。
IIJの四倉章平システムクラウド本部サービス統括部アライアンス担当部長(左)と、小野原雄平ネットワーククラウド本部ネットワークサービス課長
四倉氏は今回のサービスにおけるIIJの優位性について、「IIJのネットワークにつなげば、ご利用中の通信キャリアはそのままAWS、Microsoft AzureおよびOffice 365などのさまざまなクラウドサービスへ接続できる」ことを改めて強調した。