宮城県東松島市、KDDIら協力のもと農業IoTを導入

大場みのり (編集部)

2019-06-04 17:56

 KDDIとKDDIエボルバは6月1日から、宮城県東松島市で運営する農産物栽培拠点において、人工知能(AI)を活用した潅水施肥システム「ゼロアグリ」と、農産物の生育を映像として記録する「屋外クラウド録画パッケージ」の導入を開始した。

 宮城県東松島市、KDDI、KDDI総合研究所、KDDIエボルバの4者は2018年11月、「SDGs未来都市」の推進による地域活性化に向けて協定を締結。この取り組みの一環として、ゼロアグリと屋外クラウド録画パッケージの導入に至ったとしている。

ゼロアグリから点滴チューブを通して、水と肥料が供給されている(出典:KDDI、KDDIエボルバ、ルートレック・ネットワークス、エコモット、東松島市)
ゼロアグリから点滴チューブを通して、水と肥料が供給されている(出典:KDDI、KDDIエボルバ、ルートレック・ネットワークス、エコモット、東松島市)

 ルートレック・ネットワークスが提供するゼロアグリは、日射センサーと土壌センサーの情報をもとに、作物の生育状況に合った水の量をAIが算出・判断し、適切なタイミングで点滴チューブから自動で供給するシステム。これまで作物に水や肥料を供給する際、生産者はタイマーなどを使用してきた。そのため、供給の量やタイミングは、生産者自身で判断する必要があり、栽培には経験とノウハウが求められたという。

 だが、このシステムにより潅水・施肥の作業時間軽減が実現する。さらに、土壌の水分を最適な状態に保たれることで、作物にとってストレスが少ない環境になり、収穫量・品質の向上や余分な水・肥料の削減が期待される。

屋外クラウド録画パッケージ(出典:KDDI、KDDIエボルバ、ルートレック・ネットワークス、エコモット、東松島市)
屋外クラウド録画パッケージ(出典:KDDI、KDDIエボルバ、ルートレック・ネットワークス、エコモット、東松島市)

 加えて東松島市は、エコモットの屋外クラウド録画パッケージも導入する。作物の生育を映像で記録し、撮影された動画はau 4G LTE回線を通して「KDDI IoTクラウド Standard」に保存される。光学20倍ズーム機能を搭載し、遠隔地から操作できるパンチルトズームカメラにより、対象物が画角から外れたり遠く離れたりしてもPCやスマートフォンから画角を調整するだけで、対象物を鮮明に確認することが可能だ。

 撮影された動画は、PCやスマートフォンからリアルタイムで確認できる。過去30日間のアーカイブ動画も閲覧可能で、生育状況のきめ細やかな把握が可能。またアーカイブ動画により、収穫量の向上といったゼロアグリの導入効果を目視で確認できる。

 各者の役割は、KDDIが通信環境とクラウドサーバーの提供、KDDIエボルバが実証機器の調達、実証場所の提供、IoT導入による効果検証、東松島市が市内関係者との調整、広報活動だとしている。

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