ID認証サービスを手掛ける米Auth0は6月4日、日本での事業展開についてのプレス向け説明会を開催した。併せて日本での大口の採用事例として、同日付でNTTドコモとパーソルキャリアが同社のユーザー認証サービスを採用したことも発表した。
Auth0 最高経営責任者 共同創業者のEugenio Pace氏
Auth0の事業概要を説明した最高経営責任者(CEO) 共同創業者のEugenio Pace氏は、「アプリケーションには、『アクセスしてきたのが正当なユーザーか否か?』『そのユーザーはどのような権限を持っているか?』という2つの問いの答えが必要だ」として、ほぼ全てのアプリケーションがユーザー認証/認可機能(Authentication/Authorization)を必要とするとした。その上で、同社が「その問いに答える」と語った。
同時に、ユーザー認証/認可機能は、アプリケーションにとって中核ではない“ノン・コア”の機能であり、こうした機能の開発に労力を割くのではなく、中核機能の開発に集中できる方が開発者にとってメリットがある、とし、同社が提供するサービスを活用することでアプリケーションの中核機能がより良いものになり、さらに必須のセキュリティ機能であるユーザー認証/認可に関しては定評のある高品質な同社のサービスを活用することで、「ユーザーエクスペリエンスを犠牲にすることなく、インターネットをより安全な場所にできる」と語った。
Auth0のサービス概要
同社のサービスは、アプリケーションに認証/認可の機能を組み込むための支援を提供することで、開発者が利用するためのAPIやライブラリ、ツールキットなどに加え、ユーザーが既に持っているソーシャルサービスのアカウントを利用してログインするソーシャルログインもサポートされる。ソーシャルログインは、FacebookやTwitterなど40種類以上のサービスに対応しているという。また、ユーザーデータベースとしては、Auth0が提供するデータベース、開発者が独自に開発するデータベースまたは既存のデータベース、ソーシャルサービス、GoogleやMicrosoft Azure、Office 365といったエンタープライズサービスなどを利用できる。
Auth0 カントリーマネージャーの藤田純氏
日本での事業戦略について説明した日本法人 カントリーマネージャーの藤田純氏は、国内でのミッションとして「モダンなB2C、B2Bアプリケーションを開発するデベロッパーがAuth0を選択することを当たり前にする」と語った。同氏は認証/認可について、「ノンコア機能であり、複雑で専門性が高く、開発できる人材は不足している」という状況を踏まえて、「車輪の再発明は不要。実績のある製品を採用し、自社のコアに集中すべき」とした。同社の当面の戦略として、「いかに安心して“Buy”の意志決定ができるかの土壌を整える」ことに取り組むとしている。