NECは6月5日、人工知能(AI)を搭載するというロボティックプロセスオートメーション(RPA)ソフトウェア「WorkFusion Smart Process Automation(SPA)」を発表。6月7日から販売する。
一般的なRPAでは、入力データが頻繁に変わる場合、変わる度にロボットを作成する必要がある。サーバー型のWorkFusion SPAでは、データと人間の作業から継続的にロボットが学習することで入力データが変わってもリアルタイムに追随できると説明、大量のトレーニングデータやデータサイエンティストを必要とせずに業務プロセスを自動化できるとしている。
RPAでは帳票にあるデータを業務システムに入力するという作業に活用されることがある。さまざまなレイアウトの帳票から業務システムに必要な情報を抽出することが求められる。
WorkFusion SPAの場合、未定義の帳票でも、新たにロボットを作成するのではなく、継続的にロボットが学習する。光学文字認識(OCR)や傾向分析、ワークフローなどの機能がワンパッケージで提供され、これらの機能を全体的に利用すれば、人間の判断も含めた業務プロセス全体を自動化、最適化できるとメリットを説明している。
NECグループに人事や総務、経理、調達などのシェアードサービスを提供するNECマネジメントパートナーは、WorkFusion SPAを経理や財務部門で適用。非定型の処理が月間1万件以上発生しており、月末に集中していた売上審査業務で手作業を45%効率化することに成功、非定型の帳票から目的の情報を抽出する作業を93%自動化できたという。ほかの業務への適用を進めるとともに、業務プロセスを分析、最適化した上でRPAの効果的な運用を判断、設計できる内部人材の育成に取り組んでいく方針を説明している。
WorkFusion SPAでは、画像やオブジェクトに基づいてコーディングせずにスクリプトを記録。スクリプトの精度を上げるためのコードエディターも利用可能。非構造化データを含むプロセスに簡単に機械学習を適用可能と説明。組み込みの「Process AutoML」を活用することで、少ないトレーニングデータセットでも業務プロセスにRPAを組み込めると説明している。
OCRエンジンも組み込まれているが、オプションで別のOCRエンジンを活用することもできる。ロボットの活動状況を監視するとともにプロセスのデータを集計して分析することもできる。実績のデータを分析してコストや品質、生産性などを予測して最適化することもできるとしている。
米WorkFusionと日本企業としては初めて提携した。価格は12カ月間の10プロセスライセンスで3000万円となっている。