竹中工務店とHEROZは、HEROZが提供する人工知能(AI)「HEROZ Kishin」を用いた空間制御システム「Archiphilia Engine(アーキフィリア エンジン)」を共同開発したと発表した。竹中工務店が設計施工した「EQ House」のプロジェクトで、6 月5日に実証実験を開始したという。
両社によれば、通常の建物設備システムは、設備管理員が手動で室内の温度や湿度などの運転条件を設定しているが、Archiphilia Engineではセンサーから取得したビッグデータとAIを使ってシステムが運転条件を最適化し、省エネルギーや省人化を可能にする。さらに、フィードバックデータを継続的に学習することで、入居者の嗜好に合った室内環境を提供する。
同システムでは、HEROZ Kishinとビルコミュニケーションシステム(ビルコミ)が収集・保存しているデータが連携する。現時点では、設備制御にビルコミを介する必要があるが、通信規格「BACnet」などにより、直接的に建物設備システムを制御する拡張もできるという。
(出典:竹中工務店、HEROZ)
ビルコミは、建物設備システムや IoT データの効率的な活用のため、オープンな通信規格を採用したプラットフォーム。 データの収集と保存だけでなく、遠隔からの建物制御も実現する。収集されたデータは、クラウドからリアルタイムで可視化されることに加え、ビッグデータ処理基盤に保管されるため、ビッグデータの活用が容易だとしている。
EQ Houseには、入居者や環境情報のリアルタイムかつ詳細な把握に向けて、環境センサー、人感センサー、ウェアラブルセンサーといったIoTセンサーを配置。加えて、明システムや 空調システム、建物設備システムから得たデータもEQ Houseで運用されている演出システムなどに活用する。両社は、これらのデータをクラウドに収集し、Archiphilia Engineで処理することにより、高度に設備制御された空間を実現するとコメントしている。
EQ Houseの外観(出典:竹中工務店、HEROZ)
EQ Houseの内部(出典:竹中工務店、HEROZ)
実証実験期間はEQ Houseがオープンしている約2年間を予定。両社は今回の成果をもとに建物設備へのAI適用を進めていくとしている。