CRMと連携した分析、可視化などの機能は昔から存在していたが、高価すぎて導入に二の足を踏んでいた企業が多かったのではないだろうか。
近年では比較的安価で提供されるクラウドサービスが増加。以前は高価になりがちだった通話相手の顧客情報をコンピューター上に表示させるコンピューター電話統合(CTI)などの機能も、クラウド化により低価格で導入できるようになり、自社運営でのコールセンター開設という選択肢をもたらしている。投資に対して適切なケアが必要になる中小企業にとって、特に大きな要素にといえるのではないだろうか。急成長を遂げるスタートアップ企業にはスピード感を重視する企業も多く、クラウドの積極的な活用が目立つ。会社やサービスの成長に伴い、スケールアップできるため、コールセンターの回線増、ビジネスフォンとしての機能付加などの検討の敷居も低いことが多い。
オーバースペックな導入、有効活用できない機能追加など、従来生じがちだったミスマッチやアンマッチをトライ&エラーしながらの調整も可能で、極力無駄を排除できる点が最大限に注目されている。
デジタル化が進み、メールやボイスチャットといったメッセージ、文章のみでのやりとりが主流と捉える方は多い。しかし、実際はカスタマーサポート、インサイドセールスといった場面で電話の重要性が見直されつつある。リアルタイムかつ機械的ではない、対人で密なコミュニケーションが顧客満足度の向上やサービスへのフィードバック、商談の獲得につながると考える企業では、ボイスコミュニケーションの重要性を見直す活発な動きがある。
クラウドPBXの登場で、コールセンター運営は大幅なコストカットと利便性の向上が可能となった。導入できる規模が大企業だけでなく中小企業に広がり、ユーザー数が増え、日本のビジネス環境に大きな変革をもたらしたことは大変意義深いといえる。
次回は、現代のビジネススタイルに合ったクラウドPBXの具体的な活用事例を交え解説する。
(第2回は7月中旬にて掲載予定)