TISは6月3日、企画や開発といったアイデアの創出を効率化するためのクラウドサービス「AIブレストスパーク」を博報堂と共同開発し、オープンベータ版の提供を開始すると発表した。
AIブレストスパークは、アイデアやコンセプトのきっかけとなるキーワードを入力すると共起する関連語をインターネット上から瞬時に収集、組み合わせ、新たな切り口や視点として提供するもの。人力では時間を要するアイデアの拡散を効率化し、俯瞰情報やコトバ同士の“意外接着”(予想外の単語の組合せ)により発想を増幅させるとしている。
開発に際しては、博報堂の広告会社ならではの発想法や打ち合せノウハウを5つの機能にまとめ、ユーザーインターフェースに搭載した。このノウハウは「博報堂発想支援メソッド」と呼ばれるもの。
AIブレストスパークメイン画面(出典:TIS)
5つの機能は、市場や生活者に関する情報・ヒントを大量に提供する「ひらめきマップ」、ひらめきマップやテンプレートのコトバとコトバをランダムに結合することで、新しい概念を生成する「ブレストアイデア」、思いついたこともテキスト機能で書き留められ、全画面表示で採集した言葉を分類し俯瞰する「ノート」、自分にはない着眼点に立つことで、商品やサービスの隠れたメリットや存在意義を発見できる「他人の“アタマ”で考える」、ブレストアイデアのワードやフレーズを1行ずつ画面いっぱいに連続表示し、発想を刺激する「連続刺激モード」がある。
またTISは、アイデア出しを行うことの多い企画職の1032人を対象に、「アイデア出しに関する意識・実態調査」を実施した。
アイデア出しに関する意識・実態調査(出典:TIS)
調査結果では、「イノベーティブなアイデアを求められることが増えた」と回答した人は56.6%と、多くの企画職が以前に増してアイデアを求められていることが分かった。一方で、「働き方改革が個人のアイデア出しを効率化することは難しい」と58.4%の人が実感(グラフ1)しており、「プライベートな時間までアイデアを考えることが増えた」と答えた人は43.0%(グラフ2)、さらに「一人でアイデアを考えなければならない場合が増えた」と46.2%が答えた(グラフ3)。
これらの結果から企業の企画職は、アイデアを求められる機会は以前より増加しているが、働き方改革による労働時間制限により、業務時間外に一人でブレインストーミング(ブレスト)を実施している担当者が多く存在する社会実態が見えてきたという。
TISでは、これを働き方改革時代に企画職が陥る「一人ブレスト問題」としてとらえ、従来難しいと考えられてきた創造領域の効率化に向け「AIブレストスパーク」を開発、提供することとした。