「30~50社のエコシステムを目指したい」ゾーホー、パートナー販売に注力

阿久津良和

2019-06-10 07:00

 ゾーホージャパンは40種類以上の業務アプリケーションを利用できるSaaS「Zoho One」や顧客情報管理システム(CRM)のSaaSである「Zoho CRM」などを提供。本社の最高戦略責任者(Chief Strategy Officer:CSO)のVijay Sundaram(ヴィジャイ・サンダラム)氏は「最近の都市部は混雑している。東京や(インドの)チェンナイ、サンフランシスコも同様。日本の働き方改革関連法を支持したい」と同社が提供するSaaSで業務効率化ができることを強調した。

 日本法人であるゾーホージャパンは6月7日に年次イベント「Zoholics:JAPAN」を開催。本社CSOであるSundaram氏とチーフエバンジェリストのRaju Vegesna(ラジュ・ベゲスナ)氏が来日。事業戦略説明会を同日に開催した。2019年上期の売り上げは1.5倍、パートナー企業による売り上げは2倍を超える見通しという。

Zoho CSO Vijay Sundaram氏
Zoho CSO Vijay Sundaram氏
Zoho チーフエバンジェリスト Raju Vegesna氏
Zoho チーフエバンジェリスト Raju Vegesna氏

 1996年創業インド発のソフトウェア企業であるZohoは、1998年から日本を主要な市場の1つとして関与してきた。当初はプリンターベンダーとのビジネスが主体だった同社だが、現在は世界180カ国に展開し、35万社以上の企業が利用してる。ユーザー数で換算すると4500万人以上を数え、Vegesna氏は「世界全体で7000人の従業員がいる。2020年中には1万人を超えるだろう」と急成長をアピールする。

 現在43種類を数えるアプリケーション群だが、個別利用の他にマーケティングオートメーション(MA)ツールと顧客体験(CX)ツールを兼ねた「CRM Plus」、会計やバックオフィス部門を支援する「Finance Plus」といったスイートパッケージも提供。そして全部入りとなるZoho Oneを展開中だが、Vegesna氏は「Zoho Oneはビジネスの諸課題を解決するプラットフォームという意味で一種のOS」だと称する。

 同社はクラウドビジネスは3段階で成長すると捉えており、第1段階は「ユーザー登録」、第2段階は「有償使用」、第3段階は「利益化」だと説明する。その文脈に沿っていくつかの数字をつまびらかにした。

 2008年段階では10万人程度だったユーザー数は2018年で4060万人まで拡大。現時点では約4500万人を数える。直近5年では年率37%の成長を遂げてきた。

 有償使用する顧客数は2013年時点で8.5万人だが、2018年は33万人に増加。現在は35万人を数える。売り上げは、2012年を100とした場合、2018年は703。つまり7倍増となる。

 Sundaram氏は「MicrosoftやAdobeと比べても遜色ない急成長を遂げている」と説明。他方で「解約率は重要な指標として注目している。パターンを国や製品、顧客の種類で観察してきた。現在は約3.1%まで低下し、これ以上の改善は難しい」と語った。

 同じ角度で日本市場の成長率を見ると、2014年を100とした場合、2018年は308。4年間で3倍の成長を遂げたことになる。グローバルの数字と比べると見劣りしてしまう。

 だが、ゾーホージャパン Zoho事業部 事業部長 中沢仁氏は「2019年に入ってからユーザー登録数の急増しているが、利益化には数カ月を要する」と国内ビジネスが順調であるとアピール。急増した理由として中沢氏は「ウェブの日本語化やサイボウズLiveの移行ツールを用意した。同時期なのでどちらが理由なのか不明」と述べている。

ゾーホージャパン Zoho事業部 事業部長 中沢仁氏
ゾーホージャパン Zoho事業部 事業部長 中沢仁氏

 Zohoのサービスはグローバルと日本で、オンラインによる直接販売とパートナー販売の複数チャネルを用意してきた。グローバルは全体売り上げの31%、日本も30%がパートナー経由の売り上げだという。

 日本市場でのパートナー戦略について中沢氏は「大企業による売り上げは、件数が少なくても大きい。当初はブランドとマーケティングだけで拡大したかったが無理。(パートナー企業が)顧客へリーチしてくれる」と日本独自の商習慣に沿った戦略を打ち出した。

 現在パートナー販売に注力する同社だが、加えてローカライズや日本語対応を強化して「広い市場の顧客に使ってもらう」(中沢氏)ことを目標に掲げている。パートナー販売についても「アクティブなパートナーは5~6社。(今後は)30~50社のエコシステムを目指したい」(中沢氏)と、さらなるシェア拡大を目指すことを示した。

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