日立製作所と博報堂は、共同で実施した「第四回 ビッグデータで取り扱う生活者情報に関する意識調査」の結果を発表した。
これによると、人工知能(AI)によるプロファイリングに対しては、多くの生活者が「病気予防」「安全運転アシスト」への活用などに期待していることが分かった。また、AIが自動処理により下す判断について、その根拠が分からないという“AIならではの問題”に起因するプライバシー上の不安も覚えていることが明らかになった。
この調査は、生活者のパーソナルデータの利用や活用に対する意識、AIによるプロファイリングへの期待と不安、ビッグデータ利活用への親しみ度合いによる意識差などを調べたもの。ここでいうパーソナルデータとは、個人情報(個人情報保護法に規定する、特定の個人を識別できる情報)に限らず、商品の購入履歴やGPSによる位置情報など広く特定の個人を識別しない情報も含むとしている。プロファイリングについては、本人の個人的側面を分析または予測するための、パーソナルデータの自動的な処理を指すという。対象は全国20~60代の男女1030人で、インターネット経由で3月1~3日に調査を実施した。
パーソナルデータの利用や活用に対する生活者の期待と不安については、年代別では、「年代が若いほど不安が少なく、年代が高いほど不安が大きい」という傾向が初めて明確になった。不安要因のトップ2は、前回調査と変わらず「拒否権がないこと」と「活用目的の説明・公表が不十分」だった。一方、「第三者提供の制限」「収集制限」「第三者による企業監査」の徹底で不安が軽減されると6割近くが回答している。
AIによるプロファイリングについては、期待する面もあるが、プライバシー上の不安も浮上している。日立と博報堂では、調査結果から、AIを利用する企業に求められているのは、「人や環境に対する安全性の担保」「使用データの適切な管理」「AIに起因する問題の責任の所在を明らかにすること」などの原則の順守だとした。
また、パーソナルデータ利用や活用への関心・知識レベルは前回に比べ全体的に底上げしていることが分かった。ビッグデータへの関わりや親しみがある生活者ほど、データ利用や活用への期待や関心・知識が高い傾向にある。日立と博報堂では、プライバシー保護について、「企業などによる対策を期待する生活者」と「自衛傾向の強い生活者」の2つのタイプが存在しているとし、それぞれが求める対策への対応が必要だとした。