調査

世界のフィンテック投資額は前年比2倍以上の553億ドルに--アクセンチュア調査

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2019-06-13 10:13

 アクセンチュアは6月11日、グローバルにおける2018年のフィンテックベンチャーに関する調査結果を発表した。これによると、2018年のフィンテックベンチャーへの投資額は、前年比2倍以上の553億ドルに達したことが分かった。また日本における投資額についても、過去最高となる前年比5倍以上の5億4200万ドル、投資案件数は3倍に成長していることが明らかになった。

 また投資案件数でも全世界で前年比約19%増となる3251件に達している。米国は1100件以上の投資案件があり、中国の投資案件数は2倍以上増加して348件となった。英国でも投資案件数が25%増加し、シンガポールは16%増、日本は3倍近くまで投資案件数が伸長している。

グローバルでのフィンテック投資活動 地域別
グローバルでのフィンテック投資活動 地域別(出典:アクセンチュア)
グローバルでのフィンテック投資活動 事業領域別
グローバルでのフィンテック投資活動 事業領域別(出典:アクセンチュア)

 この調査の調査対象には、ベンチャーキャピタルおよび未上場企業、株式会社および企業のベンチャーキャピタル部門、ヘッジファンド、アクセラレーター、政府系ファンドなどにおける国際的な投資活動が含まれる。また対象となるデータは2010年から2018年までのもので、エクイティおよび非エクイティの融資が含まれる。さらに同レポートでは、フィンテック企業を、銀行業務やコーポレートファイナンス、キャピタルマーケット、財務データ分析、保険、決済や個人向けの財務管理などに関してさまざまなテクノロジーを提供する企業と定義している。

 アクセンチュアでは、投資額増加の主要因は、中国における投資額が前年比約9倍の255億ドルに達したことであり、これはグローバルにおける2017年のフィンテック投資総額の267億ドルに迫るもの。2018年のフィンテック投資総額のうち46%を中国が占めている。「Alipay」などを運営する螞蟻金融(Ant Financial)が5月に実施したシリーズCにおいて140億ドルもの資金を調達している。

 Ant Financialに続く規模の資金を獲得したのは、中国の度小满金融(Du Xiaoman Financial)だった。同社は2018年4月に中国の検索エンジン大手、百度(Baidu)から独立した企業で、消費者金融ビジネスを拡大し、中国国内の融資会社との協力関係を強化するために、2つの投資案件で43億ドルを調達している。中国における他の大型案件としては、資産管理のプラットフォームを提供する陸金所(Lufax)が香港でのIPO計画を延期した後、2018年12月に13億ドルを調達している。

 米国における投資額も急増し、前年比49%増の170億ドルに達している。しかし2018年は、10億ドルを超える投資案件は見られず、オンライン融資会社のLendingPointが5月にクレジットラインにより調達した6億ドルが最大の案件だった。

 英国では前年比50%以上増の39億ドルに達した。この投資で最大の恩恵を受けたのは、APIなどのデジタル技術を活用し、非金融企業と情報を共有しながら新たな決済や融資といったサービスを提供する“チャレンジャーバンク”だった。Atom Bankは2018年3月に約2億ドルを、Revolutは4月に2億5000万ドルを、Monzoは10月に約1億1000万ドルを調達した。さらに、大学院生に国境を越えて融資を行うProdigy Financeは、銀行やその他投資家のグループから10億ドルを調達している。

 日本を含め、世界の他の国々でも投資は好調で、日本、中国、オーストラリア、ブラジルでは過去最高額を記録した。具体的には、オーストラリアでは2倍以上の7億5700万ドル、カナダでは53%増の9億6100ドル、ブラジルは38%増の5億8700万ドルだった。

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