ダイエーグループの鹿児島サンライズファーム(鹿児島SF)は6月1日、畜産向けのIoT事業などを展開するデザミスとNTTテクノクロスが提供する牛のモニタリングシステム「U-motion」を本格導入した。3社が6月13日に発表した。
ダイエーは1973年、直営農場の運営を開始。現在、鹿児島SFは約4000頭のダイエーオリジナル国産黒毛和牛「さつま姫牛」と約7000頭のブランド豚「さつま王豚」を肥育生産管理している。
U-motionは、専用の個体センサーを装着した牛の「採食」「飲水」「起立」「横臥(おうが)」「動態」「反芻」といった行動データを24時間体制で収集してクラウドに蓄積。そのデータを独自のアルゴリズムで解析することで、健康状態を判断できるという。同システムはデザミス、アルゴリズムはデザミスとNTTテクノクロスが共同で開発した。
牛に装着した個体センサー(出典:ダイエー、デザミス、NTTテクノロス)
鹿児島SFは2017年10月、事故・病気の未然防止や管理業務の効率化に向けて、直営農場の一つ「高牧フィードロット」で肥育している約400頭の牛全てにU-motionを実験的に取り付けた。今回、さつま姫牛のさらなる品質向上と安定供給を目指し、同システムを新たに約300頭に取り付け、2021年度中に全4000頭に取り付けるとしている。
近年、畜産生産者減少に伴う仔牛価格の高騰や、国際間の貿易政策による輸出環境の変化など、さまざまな変化が肉用牛を含めた国内農業全体を取り巻いているという。3社は、高品質な肉用牛を手頃な価格で提供するため、今後も連携して取り組むとコメントしている。