Microsoftは米国時間6月14日、「Exim」経由で拡散するLinuxのワームについて、一部のAzureも影響を受けるとしてAzure顧客向けに警告を出した。
このワームは米ZDNetが6月13日に最初に報じ、その後詳細情報がレポートされたもので、CVE-2019-10149の脆弱性を利用してEximメールサーバーに感染する。この脆弱性は、悪用されると攻撃者が遠隔からコマンドを実行してパッチを当てていないシステムを乗っ取ることができるというものだ。
ワームはこの脆弱性を利用してサーバーを乗っ取り、他のサーバーをスキャンして感染を広げようとする。そして乗っ取ったホストに暗号通貨マイニングを投下する。
Eximはメール転送エージェント(MTA)で、Linuxベースの電子メールサーバー上で動かし送信者から受信者に電子メールのリレーを行う。このワームはEximが動くサーバーを狙う。
Microsoftが14日に出した警告によると、Azureインフラもこのワームの影響を受けるという。幸い、Azureインフラは「このワームの拡散を制限するのを助けるための制御」を敷いているとMicrosoftは述べている。
しかし、脆弱性のあるソフトウェアを使っている顧客は感染の疑いを免れないとして継続して警告している。同ワームはインターネットのスキャンと自己増殖することはできないかもしれないが、ハッキングされたAzureマシンは仮想通貨マイニングツールをインストールされたままだ。
マイニングが行われることで感染したマシンの動作は遅くなる。そしてハッカーは同じEximの脆弱性を利用して、いつでも他のマルウェアをAzure仮想マシンに送り込むことができる。
MicrosoftでAzure Incident Responseのマネージャーを務めるJR Aquino氏は、「この脆弱性はワームによりアクティブに悪用されており、MSRC(Microsoft Security Response Center)は顧客にAzureのセキュリティベストプラクティスとパターンを確認して、感染したEximバージョンが動くVMへのネットワークアクセスを制限するかパッチを当てるように促している」と述べている。
Microsoftは、Azureマシン上で動かすEximを「Exim 4.92」にアップデートするよう促している。Exim 4.92はこの脆弱性にパッチを当てたバージョンだが、Exim 4.87と4.91は脆弱だと警告している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。