Hewlett Packard Enterprise(HPE)は、6月18~20日に米国ラスベガスで年次イベント「HPE Discover Las Vegas 2019」を開催している。最高経営責任者(CEO)のAntonio Neri氏は、会場に集まった1万人の顧客やパートナーを前に、現在の戦略を一歩進め、「3年以内に全ての製品を“アズ・ア・サービス”として提供する」と約束した。
「HPE Discover Las Vegas 2019」で講演したHewlett Packard Enterprise 最高経営責任者のAntonio Neri氏
「サーキュラーエコノミー」を提唱
前回のHPE Discover Las Vegas 2018でCEOとして初のステージを踏んだNeri氏は、HPEの生え抜きだ。前任のMeg Whitman氏が短期でのHPEの立て直しをミッションとしていたのに対し、Neri氏はHPEとともに人生とキャリアを歩んできた。それもあってか、創業の精神やHPEのビジョンを強調する。「HPEの目的は、人の生活と仕事を進化させること」とNeri氏。そして、世界経済フォーラム(WEF)と技術を利用して、医療や金融などの課題に取り組んでいることを最初にアピールした。
技術と製品では、HPE誕生時(2015年のHP Inc.との会社分割)に発表した「コンポーザブル」と「ハイブリッド」、その後にNeri氏が初めて手掛けた大型買収となるAruba Networksを土台に進める「インテリジェントエッジ」をキーワードに、ポートフォリオを構築している。「これらはどれも市場の先を読み、業界を先駆けたものだ」とNeri氏は胸を張る。それこそが、「HPEはデジタルトランスフォーメーション(DX)のパートナーとしてふさわしい」とする根拠だ。
HPEでは、DXを(1)技術、(2)人とプロセス、(3)経済――の3つの面で支援する。(1)の技術では、上述のキーワードに基づいた製品ポートフォリオにより、複雑性を排除してスピードと敏しょう性を得られる。「アプリケーションとデータ、そしてビジネスのアウトカム(成果)にフォーカスできる」とNeri氏。(2)の人とプロセスは、「技術よりも難しい」とする領域で、HPEではグローバルITサービスのHPE PointNext事業部が支援する。「人とプロセスを変え、素早くオペレーションする必要がある」とNeri氏。
そして、「3つの要素のうち最も軽視されている」というのが(3)の経済だ。投資(新しいコスト)をしながらインフラを最適化し、DXの後はマネタイズしなければならない。ここではHPE Financial Servicesが支援するという。
Neri氏が提唱するのは、「循環型経済(サーキュラーエコノミー)」だ。IT資産のライフサイクルを管理し、コストを削減する。それだけでなく、HPE Financial Servicesは、「グローバルアセットリカバリーセンター」という技術の再生センターを持ち、400万台以上の機器を処理している。2018会計年度は資産の89%を再販し、11%をリサイクルしたという。