製造業のディスラプションはこれから--アクセンチュアが考える「日本企業の勝ち残り」に必要なこと

河部恭紀 (編集部)

2019-06-24 07:45

 「ディスラプション」(創造的破壊)に対して先手を打つには、「Wise Pivot」(賢明な事業転換)が重要とアクセンチュアは考えている。6月17日に開いた記者会見で解説した。

 2018年時点において世界中で約6割の大企業が業界の垣根を越えた創造的破壊をすでに経験している、とアクセンチュアで常務執行役員製造・流通本部統括本部長を務める原口貴彰氏は述べる。製造業における競争環境において、価格に対する「製品そのものの価値=性能×品質」での優位性は、プラットフォーマーやサービスプロバイダーの登場により、サービスやユーザー体験、そして、それらが形成するエコシステムに取って代わられているという。

原口貴彰氏
原口貴彰氏

 その一方で、製造業は、通信や金融業界と比べた場合、破壊の波はまだこれからだという。そのため、いかに先手を打つかが必要になる。機会の「扉」は突然開き、急速な市場拡大と同じくらい急速に閉じることから、「この機会が開いている間に、いかにそこに入っていくかというところが今後の企業の勝負」と原口氏は述べる。

 企業がこのような破壊に備える手段として、Wise Pivotという新たなフレームワークをアクセンチュアでは提唱している。

 Wise Pivotは、次の要素で構成されている。

  1. 中核事業に向けた投資(Grow the core):中核となる製品と、それらが生み出す収益に引き続き焦点を当てる。怠ると将来の投資に不可欠な追加の利益を失う。
  2. 中核事業の変革(Transform the core):さらなる加速を期待して、最も成功している製品・サービスに戦略的に投資し続け、新たな可能性を追求する。
  3. 新規事業を拡大(Scale the new):新規事業で収益を上げ規模を拡大しながら、失敗を最小限に抑える。新たな破壊のタイミングを逃さない。

 これらを同時に進める必要があるという。一過性のプロジェクトによる大改革ではなく、潜在的かつ継続的に3つの要素の同時進行を可能にする構造の「組み込み」が重要と原口氏は説明する。

 Wise Pivotを成功させる秘訣として、5つの壁を超えることが必要、とアクセンチュアで製造・流通本部デジタルイノベーショングループ統括マネジング・ディレクターを務める田村憲史朗氏は述べる。

 その壁としては、(1)経営に予測不能性を前提として織り込むための「不確実性のコントロール」、(2)変化が起こっても即応していち早く変化するための「経営スピードを究極まで加速すること」、(3)経営のかじ取りに社員がついて行くための「方向転換時に社員のベクトルがそろうこと」、(4)足りないものを補うための「莫大な不足ケイパビリティを整備する道筋の具体化」、(5)外から補ったものを生かすための「企業に備わる異物排除システムを無効化すること(多様性コントロール)」――が存在するという。

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