松岡功の「今週の明言」

JEITA新会長が目指す「Society 5.0のプラットフォーム」

松岡功

2019-06-21 10:14

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、電子情報技術産業協会の遠藤信博 会長と、ダッソー・システムズの山賀裕二 代表取締役社長の発言を紹介する。

「業種・業界を超えた共創を推進するプラットフォームを目指したい」
(電子情報技術産業協会 遠藤信博 会長)

電子情報技術産業協会の遠藤信博 会長
電子情報技術産業協会の遠藤信博 会長

 電子情報技術産業協会(JEITA)の新会長に5月29日付けで就任したNECの遠藤信博会長が先頃、都内で記者会見を開いた。冒頭の発言は、遠藤氏がその会見で、JEITAの今後の役割について語ったものである。

 JEITAは2000年に、日本電子機械工業会と日本電子工業振興協会が統合して発足。IT・エレクトロニクス分野の業界団体として、テレビなどの家電製品やサーバーなどの産業機器、電子部品などを扱う。そのJEITAが今後、業種・業界を超えた共創を推進するプラットフォームを目指すとはどういうことか。

 遠藤氏は会見で、次のような見解を示した。

 「IoTやビッグデータ、人工知能(AI)などの技術の進展により、産業や社会の構造そのものが大きく変わりつつある。従来型の産業の垣根は崩れ、もはや単一業界のことだけを考えて行動する時代ではない」

 さらに、こう続けた。

 「今、日本が目指している『Society 5.0』の世界は、あらゆるものがインターネットを通してつながり、データを共有することで、多くの人が積極的に価値創造に参画し、自分に合ったライフスタイルと幸せを実現できる社会だ。JEITAはそのプラットフォームを構築する上でなくてはならない企業が集結しており、まさにSociety 5.0を支える業界団体と言っても過言ではない」

 しかし一方で、「業種・業界や地域・国家を超えたデータの利用や活用には、ルールの策定、標準化などを従来の枠にとらわれず、よりスピーディーに行っていかなければならず、業界団体も変化していかなければならない」と、気を引き締める発言もあった。

 その上で、「JEITAの会長としてこれから任期の1年間、変革の手を緩めることなく、Society 5.0を推進する業界団体として、産業と産業をつなぎ、業種・業界を超えた共創を推進するプラットフォームとなるべく、さまざまな取り組みを行っていきたい」と、新会長としての抱負を語った。

 遠藤氏のスピーチで印象強かったのは、「プラットフォーム」という言葉が幾度も出てきたことだ。そこで筆者は会見の質疑応答で、「GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon.com)のような巨大なプラットフォームとはどう対応していくのか」と質問してみた。すると、遠藤氏は次のように答えた。

 「JEITAが取り組むプラットフォームは、国内でのさまざまな連携の仕組みを最適化してSociety 5.0への貢献を目指したもの。やるべきことはたくさんある。さらにGAFAのようなグローバルのプラットフォームとも必要に応じて連携していくことが重要だ。そのつなぎ役もJEITAが担えると考えている」

 “クセ球”の質問をしたつもりだったが、遠藤氏にうまく打ち返された感じがした。会長としてのリーダーシップに注目しておきたい。

左から、JEITAの川上景一常務理事、遠藤会長、長尾尚人専務理事
左から、JEITAの川上景一常務理事、遠藤会長、長尾尚人専務理事

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