このように中小企業の資金繰りを可視化することで、運用資金を金融機関から調達しなければならない企業も出てくるだろう。だが、前述のように調達時は損益計算書や事業計画書など膨大な書類を必要とし、中小企業経営者の負担は大きい。
fflが提供するオファー型融資は、fflと金融機関が連携して、借り入れ可能額や金利などの諸条件を試算し、提示するというもの。融資を望む場合はそのまま金融機関への審査に移り、契約締結から返済スケジュールまで進む。サービス開始直後の連携先金融機関はライフカードと三井住友カードの2社。提携先は随時拡大していく。
武地氏はオファー型融資について「『事前に条件が表示される』『完全非対面』『代表者保証不要(法人の場合)』といった特徴を備える。原則審査は数分で終える体制を用意した。会計freeeユーザーは無料」とアピールした。
オファー型融資の画面。試算段階では信用情報履歴が残らないため、融資を受けられなかった場合のリスクを回避できる
ライフカードとの連携では、オファー型融資を通じて個人事業主向けの融資サービス「ビジネスパートナーローン」が提供される。ビジネスパートナーローンに申し込むと、ライフカードの審査や融資の状況、返済履歴や返済予定などがオファー型融資内で直接確認できる。サービスの全ては非対面で完了できる。
ビジネスパートナーローンの融資額は10万~250万円。実質年率は12~18%。返済期間は1~12カ月。担保や保証人は不要。
三井住友カードとの連携では、オファー型融資経由でビジネスローンへの申し込みから審査、返済状況の確認ができる。サービス基盤には、富士通が開発する、オンラインレンディング業務向けクラウドサービス「Cloud Lending」を活用している。
請求書ファイナンスは会計freeeに登録した請求書などの売掛債権をオンライン完結型のクラウドファクタリングサービス「OLTA」経由で現金化するサービス。必要な資料をアップロードし、最短で翌日には入金されるとfflは説明する。
請求書ファイナンスの画面。買取手数料は発生するが、急な運用資金が必要な場合に利用できる