ギットハブ・ジャパンは6月21日、5月にベルリンで開催したプライベートイベント「GitHub Satellite Berlin」での発表内容や最新情報に関するプレス向け説明会を開催した。コラボレーション基盤を提供するという同社の方針を改めて強調した。
カントリー・マネージャーの公家崇裕氏は、イベントについて「年1回米国サンフランシスコで開催している『Universe』(宇宙)というイベントを囲む『Satellite』(衛星)」だと名称に込めた意味を説明し、世界各国で順番に開催されていると紹介した。さらに、東京で開催した前回の「Satellite 2018」を振り返り、「ちょうどマイクロソフトによるGitHub買収発表の後、承認前といういろいろなことにお答えしにくいタイミングだった」とした上で、「今年はいろいろなことがクリアになり、今後の方向性や新発表がさまざま行われた」と語った。
ギットハブ・ジャパン カントリー・マネージャーの公家崇裕氏
なお同氏は、マイクロソフトによる買収の影響について、「全世界でどのくらいの人数のデベロッパーがGitHubを使っているのか。2018年のSatellite Tokyoで発表した数字は2800万人だった。買収発表後は将来に対する懸念や不安もいろいろと聞かれたが、実際に1年経ったSatellite Berlinでは800万人増えて3600万人になった。月ごとの増加数はこのところ毎月過去最高を更新し続けている」と明かし、買収後もデベロッパーからの支持が揺るがないどころか。さらに高まっているとした。その上で同氏は今後の方針として、「われわれはこれまで通りコラボレーションのための最高のプラットフォームを提供していきたい」と語った。
GitHubは、Satellite Berlinで「セキュリティー」「エンタープライズ」「コミュニティー」の3つの軸を打ち出した。そこでの新機能などをオープンソースエコノミー担当プロダクト・マネージャーのDevon Zuegel氏が説明した。
GitHub オープンソースエコノミー担当プロダクト・マネージャーのDevon Zuegel氏
セキュリティーに関しては、悪意を持ってオープンソースプロジェクトに参加し、バックドアを仕込む人物が出現するなどの問題が現実に起きているという。同社のセキュリティーに対する取り組みとしてZuegel氏は、「セキュリティー脆弱性アラート」やWhiteSourceとのパートナーシップに基づく「ディペンデンシー・インサイト」、開発者間でセキュリティーに対する意識の統一をしやすくするための支援機能「セキュリティーポリシー」といった機能を紹介した。
またエンタープライズでは、企業内開発者の支援機能として「エンタープライズアカウント」「インターナルリポジトリ」「新たなロールとパーミッション(triageとmaintain)」「オーガナイゼーションインサイト」の4つの新機能が追加されたことを明かした。
最後のコミュニティーの分野では、「これまでのオープンソースの世界でコントリビューションする手段はコードを書くことだけだった」(公家氏)という認識を踏まえた新機能として「GitHub Sponsors」を発表した。これは、端的に言えば、開発者を選んで寄付する機能であり、コードを書かない人がコードを書く人に対して貢献する手段として用意したものだという。
会場からはこの機能に関して「開発の方向性などに経済力を行使することで恣意(しい)的にコントロールするための手段ともなり得るのでは」という疑問の声も上がったが、こうした懸念に対する対策としてZuegel氏は、「寄付を受け取るかどうかは開発者の側で決めることができるようになっている」とした。
主な新機能