伊藤忠商事グループで飼料などを製造、販売する日本ニュートリション(JNC、港区)は、RPAツール「UiPath」を導入。請求、受注業務などを自動化し、自律的に継続できる体制を構築し、年間約985時間の削減を見込むという。導入を支援したエル・ティー・エス(LTS、新宿区)が発表した。
JNC(従業員数70人)では導入にとどまらず、ロボットを内製化できる体制の構築までを目的に検討。“業務の整理、対象の選定”“請求書発行業務の自動化”“工場受注業務の自動化”“内製できる体制の構築”の4段階に分類し、プロジェクトを開始したとしている。
プロジェクトの全体像(出典:LTS)
2018年2月、本社管理部、工場を対象とする業務アセスメントから実施。課題を整理し、対象化業務、RPAツールを選定したという。UiPathの選定理由には、親会社である伊藤忠商事でも活用する親和性、ユーザーコミュニティーの活発な活動に加え、機能的に幅広い業務に対応できる点などを挙げている。
結果をもとに請求書発行業務での概念実証(PoC)に着手。全31支点、営業所の特定顧客向け請求書フォーマットを統一、発行業務を自動化したという。請求書発行の時間を半日短縮し、繁忙期の業務負荷を軽減。担当者の作業時間としては年間45時間の削減になったとしている。
ファクスで受信する多様な形式の注文書から情報を手入力していたという工場受注業務では、件数の増加と比例して登録、確認数が増加。膨大な時間がかかっていたという。
円滑な自動化のため、注文書をデジタルデータ化できるフォーマットに統一。RPAと併用して光学文字認識(OCR)を活用し、注文データを基幹システムまで自動入力する業務フローを構築したという。年間で240時間を削減したとしている。
新旧業務フロー比較(出典:LTS)
RPAの開発、保守、管理を内製化するため、特性を体感する講習会を実施。社員10人を対象に、ロボット開発スキルや対象業務選定ポイントなどを伝授したという。
各業務部署に候補業務を選定できる担当を配置しつつ、開発部隊となる情報化チームが開発から保守、管理までを内製できる体制を構築。修了した社員のうち2人は社内の財務、経理、発送確認業務を対象としたRPAを内製済で、700時間の業務削減を見込むとしている。
選定部隊、情報化チームに分けた講習会を実施(出典:LTS)