製造業のデータ分析の“目的”拡大に対応する--Cloudera幹部

國谷武史 (編集部)

2019-07-03 06:00

 2018年10月に、Hadoopディストリビューター大手のClouderaとHortonworksが合併(現Cloudera)し、エッジコンピューティングや人工知能(AI)、IoTをカバーする統合プラットフォームに注力する方針を打ち出した。Clouderaの幹部は、製造とIoT分野におけるエッジからクラウドまでをカバーするビッグデータ分析プラットフォームを展開すると説明する。

 「以前から、HortonworksはIoTを中心とするビッグデータの処理に、Clouderaはビッグデータの機械学習とAIに注力してきた。統合により、それぞれの強みを組み合わせたデータアナリティクスプラットフォームを提供できる」(製造・自動車業界担当マネージングディレクターのMichael Ger氏)

Cloudera 製造・自動車業界担当マネージングディレクターのMichael Ger氏(右)と同アジア太平洋地域CTOのAndrew Psaltis氏
Cloudera 製造・自動車業界担当マネージングディレクターのMichael Ger氏(右)と同アジア太平洋地域CTOのAndrew Psaltis氏

 ClouderaとHortonworksは、ともに製造分野に向けたビッグデータのソリューションを長年提供してきたが、両社の統合は顧客におけるビッグデータ活用の目的の広がりにも対応するものだという。

 例えば、Ger氏が担当する自動車業界の日系大手メーカーは、まずディーラーからの照会データを“データレイク”として収集し、部品の故障や修理の傾向を把握することで品質改善に取り組んだという。また、別のメーカーでは物流業界の顧客の車両データから配車やドライバーの勤務の最適化に取り組む。Ger氏は、「コネクテッドの時代が来たことで、メーカー各社はさらなる付加価値の提供に乗り出した」と話す。

 特に製造分野での取り組みが本格化しているのが、映像や画像データの分析になる。例えば、従来はベテラン担当者の経験に委ねられていた製造ラインの監視や不良品の検出といった作業の効率化や精度の向上にデータ分析技術を活用するといった動きだ。

 同社でアジア太平洋地域のCTO(最高技術責任者)を務めるAndrew Psaltis氏は、「自動車業界を含め、製造分野ではビジュアルデータから“可視性”を高めるというのが大きなテーマになっており、機械学習を用いた推論を求めている。ここではレイテンシー(遅延)の条件によって分析環境をエッジ寄りかクラウド寄りにするかも分かれているが、われわれの『Data Management Platform』は両環境を同一のように扱える」と語る。

 こうした動向を踏まえClouderaでは、製造分野での協業拡大を進める。Ger氏によれば、CADやPLMソフトウェアを手掛けるPTCの協業では、PTCのIoTアプリケーションプラットフォーム「ThingWorx」とClouderaのデータプラットフォームを連携させているほか、ハードウェア企業も加えたソリューションも開発中だという。また、半導体メーカーのNXP Semiconductorsとは、コネクテッドカー向けのエッジコンピューターにおける分析ソリューションを開発しているという。

 Ger氏は今後、製造分野ではより多くの組み込み機器でデータ分析へのニーズが高まると予想する。同時にPsaltis氏は、異業種連携のデータビジネスも拡大すると指摘する。「例えば、MaaS(Mobility-as-a-Service)の世界でも保険や交通、エネルギー、小売などさまざまな業種が参加する。各社のデータレイクを持ち寄りビジネスのヒントを見つけ出そうとするが、データのガバナンスやコントロールも確保する必要があり、そこに対してもわれわれはソリューションを提供している」と述べている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]