調査結果をまとめたノークリサーチの洞察に注目
図1の内容を年商別に見ると、年商5億円未満では、経営層の割合が2018年の74.4%から2019年は68.8%に減ったのに対し、現場部門の割合が16.3%から21.3%に増えた。この結果について同社は、「経営者が高齢化し、後継者の育成が課題となっている一方で、手軽かつ安価に導入できるクラウドサービスなどを活用して現場が業務改善に取り組み始めている」との見方を示した。
これに対し、年商300~500億円では、2018年から2019年に向けて経営層の割合(33.1%→45.4%)および現場部門の割合(26.2%→28.5%)のどちらも増加した。その一方で、間接部門(25.4%→17.7%)とIT関連部門(50.8%→46.2%)は減少した。
この結果について同社は、「IT関連部門が既存IT資産の維持に追われる中で、IoTなど新しいデバイスによるIT活用やロボティックプロセスオートメーション(RPA)による自動化といった働き方改革への対応では、現場部門の知識やノウハウを生かすことの重要性が認識され始めており、それが現場部門の割合が増えている要因の一つと考えられる。同時に経営層の割合も増えていることから、経営層のリーダーシップやIT関連部門の統制とバランスを取りながら、現場部門の経験を生かしたIT活用に取り組もうとしている状況が垣間見える」と分析している。
筆者がこの調査結果に注目したのは、ノークリサーチの深い洞察とともに、新たなIT活用に対する経営層の意識の高さを感じ取ることができたからだ。見方によっては、中堅、中小企業の場合は経営層がリーダーシップをとるのが当然とも言えようが、この調査結果の結論に挙げられている「デジタルトランスフォーメーション(DX)時代の新たなIT活用では、中堅、中小企業においても経営層の関与が強まりつつある」との動向が今回の調査で明らかになったといえる。
最後に筆者の意見を述べておくと、とりわけ中堅、中小企業にとってDXの動きは、絶好のビジネスチャンスと捉えるべきである。中堅、中小企業の方が大企業よりも遥かにデジタルを生かせると、筆者は考えている。どうすればよいか。それは本サイト「TechRepublic」の各記事を参考にしていただきたい。