「宅急便」に代表される運送事業を中核とするヤマトグループは、働き方改革の一環としてロボティックプロセスオートメーション(RPA)の導入を進めている。グループの情報システム子会社であるヤマトシステム開発では、RPAの停止や社員の生産性低下の解消に貢献するため、RPAを24時間365日体制で監視して、障害が起きた際に復旧までを担う体制を構築した。
NTTデータは7月2日、記者向けセミナー「RPAの現状と今後の展望」を開催。同セミナーにヤマトシステム開発のITオペレーティングカンパニー事業推進グループマネージャー杉原洋氏が登壇した。
ヤマトシステム開発は、グループ全体の物流や決済などの情報システムを支えながら、そのノウハウをもって製造、流通、金融など1万3000社を超える様々な業種の顧客にソリューションを提供している。
杉原洋氏
杉原氏によると、ヤマトグループでは中期経営計画のなかで働き方改革を最優先の課題としており、働き方改革の手法の1つとしてRPAによるオペレーション改善を実施しているという。
年間18億個の宅急便を扱う全国11の支社、88の主管支店、7012の物流センターでは同一の業務が多数行われていることから、「同一の業務に1つのシナリオを横展開することで最大の効果を発揮できるといった部分を捉えて取り組みを進めている」(杉原氏)
RPAツールとしては「WinActor」が選定されており、その理由として、純国産ということでの操作性の良さと導入実績の多さによる安心感、日本全国の拠点をしっかり支援できるサポート体制、世界各国の拠点でも活用できる英語版の展開、サービスラインアップの充実などがあるという。
ヤマトグループのRPA展開の例としては、ヤマト運輸本社の場合、財務の月次分析資料の作成への利用がある。100以上のデータを「Excel」に転記していたが、終了までに2日かかるだけでなく、作業途中でのミスが発生するなどもあって労力を必要とする作業となっており、担当者の負担となっていた。この業務をRPA化した結果、作業は約2時間で完了し、短時間で正確な資料を作成できるようになったという。
また、ヤマト運輸支社や支社管下の主管支店でも、月に1度の勤怠状況の会議報告のため、労務管理関連の資料を作成していたが、多種多様なデータを用いて作成する必要があるため、作成に8時間かかっていた。この業務をRPA化した結果、作業時間は約3時間に短縮。作成が時間帯を問わずに毎日可能となったことから、勤怠状況報告のためだけでなく、日頃の労務管理を補うツールとしても活用できるようになったという部分もあるという。