キングジム、対話型翻訳機を投入--クラウド翻訳エンジン活用、72言語に対応 - (page 2)

阿久津良和

2019-07-04 06:45

 たとえば“日本語-英語”であれば「Google翻訳」や「Microsoft Translator」、“日本語-中国語”なら百度(バイドゥ)などの翻訳エンジンを自動選択することで72言語間の翻訳を実現している。そのため利用時は有線や無線のLANによるインターネット接続環境が欠かせない。本誌読者であれば、このロジックに興味を持たれるだろう。

 ワールドスピークはキングジムとODMメーカーが共同で開発しており、両社は翻訳コストに関する契約は結んでいない。この点を深掘りするため、キングジムのエンジニアに尋ねたところ、各翻訳エンジンのAPIを叩くのではなく、特定のサーバーでパーサーを走らせているようだ。そのため、「100%の翻訳は難しいが、他社製品と同等の翻訳水準には達している」(開発本部 高尾政利氏)

キングジム 開発本部 高尾政利氏
キングジム 開発本部 高尾政利氏

 不明確な表現になるのは、キングジムも詳細な説明を避けたいらしく詳細な言及に至らなかったためだ。ただ、仮にワールドスピークの翻訳利用が膨大になっても、ワールドスピークを購入した観光施設や小売店のオーナーはもちろん、キングジムがコストを負担することはない。

 会見のデモンストレーションでは、ホテルのフロントを舞台とした“英語-日本語”と“ヒンズー語-日本語”の翻訳を披露。前者はともかくヒンズー語について正しい翻訳か否かは判断できなかったが、それまで丁寧語として日本語に変換された音声が突然命令語になるなど、首をかしげる場面があったのは事実。このあたりが、前述したロジックを用いた結果だろう。

 キングジムは今後のアップデートで対応言語の拡充も視野に含めているが、その上で「大事なのは翻訳精度。当社も他社製品も得て不得手な言語がある。数だけやみくもに増やすつもりはない。精度を高めたい」(宮本氏)と品質向上を一番に掲げた。

ホテルのフロントを模したデモンストレーション
ホテルのフロントを模したデモンストレーション
ワールドスピークに映し出された顧客とフロントデスクの内容(対英語版)
ワールドスピークに映し出された顧客とフロントデスクの内容(対英語版)

 ワールドスピークの連続待ち受け時間は約20時間、連続動作時間は約5時間だが、ACアダプターが付属するため、窓口など電源を確保できる場所であれば長時間の連続運用も可能。翻訳に用いたテキストと音声(MP3)を内部ストレージに格納し、PCとUSB接続することで接客検証などにも用いることができる。

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