IDC Japanは7月4日、2018~2022年の国内IT支出の部門別動向予測を発表した。17の産業分野と4つの従業員規模に分類して事業部門とIT部門で分析。2018年の調査では0.5%の年平均成長率(Compound Annual Growth Rate:CAGR)だったIT部門の支出は0.4%減と初めてマイナスに転じ、事業部門とIT部門の垣根が次第になくなっていくという。
銀行、保険、組立製造、プロセス製造、個人向サービス、運輸、メディア、公共と公益、情報サービスといった分野の事業部門で積極的なIT投資を見込むという。背景に業務効率化を目的にした金融機関でのロボティックプロセスオートメーション(RPA)の本格的な活用開始、FinTechサービスの本格展開、電力とガスの小売り自由化などを受けた顧客向けサービスのIT活用による拡充などがあるとしている。
組立製造、プロセス製造、情報サービスでは、現場と研究開発部門が一体となって協働プロジェクトを進める傾向があるという。特定産業に特化した部門において、ビッグデータ、アナリティクス、モビリティ、クラウドといった「第3のプラットフォーム」、それらと組み合わせることで企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進されるとIDCが定義する、モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)、ロボティクスなどの6つの技術「イノベーションアクセラレーター」の活用が進むという。
イノベーションアクセラレーターと呼ぶ6技術(出典:IDC Japan)
DXを推進する際の課題として、IT部門と事業部門の両方で「スキル不足、リソース不足」があると指摘。昨年の調査でも事業部門が積極的にDXを推進できない理由に、事業部門のスキル不足、リソース不足があがっており、依然推進のハードルになっているとしている。
IDC JapanでITスペンディング リサーチマネージャーを務める村西明氏は、「今回の調査で初めてIT部門の支出がマイナス成長に転じた。将来的に事業部門とIT部門の垣根がなくなっていく。ITベンダーはユーザーのDXを支援すべく、IT部門、事業部門双方の協働を促す仕組みづくりが重要になる」とコメントしている。
国内IT市場 産業分野別支出額予測、2018~2022年(出典:IDC Japan)