最高情報責任者(CIO)は多忙を極めている。人材紹介企業のHarvey Nashとコンサルティング企業KPMGの調査によると、企業の半数近く(44%)は何らかの大規模デジタル変革を進めているところだという。こういった変革の過程で生み出される多くの作業に忙殺されるなか、CIOは自らの職務を遂行し、上司の期待に応え続けるにはどうすればよいのだろうか?本記事では、4人のCIOらが自らの経験から語ってくれた、成果を生み出すための仕事術を紹介する。
#1:最も利益を得る人々のニーズに焦点を当てる
Parkinson's UKのCIOであるShaun Le Geyt氏は、パーキンソン病患者に対してテクノロジーを活用した支援を提供するシニアデジタルリーダーシップチームの一翼を担っている。英国では、1時間あたり2人というペースでパーキンソン病の診断が下されており、英国全体でみると成人350人に1人の割合となる、14万5000人もの人々がパーキンソン病に苦しんでいる。
Le Geyt氏は、テクノロジーを活用した支援の提供を考えるCIOは、実装しようとしているテクノロジーではなく、それによって利益を得る人々に焦点を当てなければならないと述べ、「文化的な変革の管理は、テクノロジー上の変化の管理と同じくらい重要だ」と続けた。
そして、こういった変革プロセスを統制することは、同組織内のスタッフのためだけでなく、この事業によってメリットを享受する個人のためにもなる。Parkinson's UKは450人以上のスタッフを抱えており、その年間収益はおよそ4000万ポンド(約54億円)となっている。また、同チャリティーは専門家や、ヘルスケア/ソーシャルケアのプロフェッショナル、ボランティア、リサーチャーによる動的なネットワークを活用している。
同氏は、「組織のニーズに焦点を当てること、つまり人を第一に考えることだ」と述べ、「テクノロジーが登場し、議論に適した時期が訪れた場合であっても、戦略的で革新的な、そして明確なビジョンを持ったアプローチを選択する必要がある。これにはリーダーシップチームと密接に連携して、業務戦略を適切な方向に進めていけるよう支援する必要がある」と続けた。
#2:テクノロジーがもたらすメリットについての語り部となる
金融サービス企業Hargreaves Lansdownの最高デジタル責任者(CDO)Chris Worle氏は、マーケティング分野での経歴も有している。そういった同氏は、成果を生み出す鍵が効果的な語り部になることだと自らの経験から体得している。
同氏は「私はしばしば、IT部門と業務部門の間の懸け橋になることが自らの役割だと感じている」と述べるとともに、「私はさまざまな言葉によってテクノロジーをブレークダウンし、不明な部分に光を当てていくという観点から人に語っていけると考えている。人にはどのテクノロジーが機能し、どういった成果を生み出せるのかを示す必要がある」と述べた。