これからは“世代”の多様性も--若者を取り込む、職場の再設計を考える

永長純 小林伸睦 (シトリックス・システムズ・ジャパン)

2019-07-10 07:15

 ダイバーシティは多様な考え方を育むとともにより豊かで迅速なイノベーションを生み出す、あらゆる企業にとって有益な要素として知られています。このダイバーシティにはさまざまなかたちが存在しますが、それに関する議論は性別、人種、文化的なものに集中する傾向があります。企業が取り入れ始めている、また取り入れるべきもうひとつのものに、世代のダイバーシティがあります。

 ベビーブーマー(1946〜1964年頃に生まれた人々)からX世代(1960年代初〜1970年代生まれ)、Y世代(1980年代初〜1990年代中頃生まれ)、Z世代(1990年代中頃以降生まれ)まで、職場のあらゆる世代にはそれぞれの強みが存在しますが、最も大きな関心を集めるのは多くの場合に若い世代です。たとえば企業の多くは、熟練労働者の深刻な不足を軽減するため若い世代に大きな期待を抱き、インターネットを経験したY世代、最近にはソーシャルメディアに習熟したZ世代をその中心として捉えています。

 このような若い世代への注目は、大衆文化やメディアに若い世代を好んで取り上げる傾向が幅広く見られることに加え、若い人々は常に職場に新たな視点をもたらすという事実により容易に説明できます。しかしあらゆる企業にとって、新たな視点に対応することは難しい課題となり得ます。このため企業は新たな世代を職場に迎え入れるために大きな時間と労力を投じています。

 また同時に多くの国の人口、それから得られる労働力においては、医療の進歩や人口構成の変化に伴って急速に高齢化が進んでいます。このことはたとえば米国に影響を及ぼしており、また欧州の多くの国や日本においても同様です。したがって企業は職場において世代のダイバーシティが高まることに備えなければなりません。

 Y世代とZ世代はインターネット、ソーシャルメディア、モバイルアプリでのスキルの高さを特徴としますが、より上の世代には数十年に及ぶこともある長年の経験が存在します。この後者は顧客やパートナー企業との長い付き合いを持ち、また多くの場合にはリーダーシップに関わる能力を取得してきています。

 さらに経験豊富な労働者の多くはデジタルテクノロジーにおいても高いスキルを持っており、「クールな」アプリケーションは最も若い人々だけのものではありません。したがって先見の明のある企業はひとつの世代のみに注力するのではなく、世代のダイバーシティを取り入れています。

世代のダイバーシティのための設計

 世代のダイバーシティを支える職場環境の構築は、経営陣から人事とITまで、すべての部門が関与する複雑かつ長期にわたるプロジェクトです。まず必要となる最初のステップは複数の世代に対応するための企業戦略であり、またそれを社内の全員に伝えることです。このメッセージを伝えた後には、世代のダイバーシティを高めるため企業が行うことのできる、また行うべきさまざまな取り組みが続きます。

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