AIサービスを自社クラウドから提供するGoogleなどに対応
以上が発表の内容だが、この発表で筆者が注目したのは、NECが自社のAI技術を活用したサービスをAmazon SaaSストアから売り出したことだ。同社の広報に確認してみると、誰でも購入可能な形でAIサービスを提供するのは、今回が初めてのことだという。
振り返ってみると、NECは2016年7月にNEC the WISEを発表して以来、図2のような世界でも競争力のあるAI技術群を整備し、さまざまなシステムに組み入れる形で利用拡大を図ってきた。今回の発表はそれに加えて、AIサービスをSaaS形式で市販する形に打って出たものだ。
図2:NECのAI技術群(出典:NEC)
同社がこうした動きに出た背景には、同じく世界で競争力のあるAI技術を持つGoogleやMicrosoftなどが、自社のパブリッククラウドからAIサービスとして提供していることがある。
筆者は、同社がNEC the WISEを発表した際、担当幹部に「AIサービスとして誰でも利用できるようにする考えはあるか」と聞いた。すると「その方向で検討している」との答えが返ってきたのを覚えている。それが今回、実現したわけだ。
同社では今後、今回の異種混合学習技術に加え、「RAPID機械学習」などのAI技術を活用したサービスも同様の形式で誰でも利用できるようにしていく構えだ。
その意味では、今回の動きは、AI技術を活用したサービスにおいてGoogleやMicrosoftなどにも対抗してグローバル市場へ勝負に打って出たNECの“本気度”を示したものといえよう。最近ではAIといえば米国と中国ばかりが話題になりがちだが、NECにはぜひ日本の存在感を高める役目も担ってもらいたい。