Microsoftは、「Windows 10 May 2019 Update」(バージョン1903)のユーザーに対し、7月の「サービススタックの更新プログラム」(SSU)をインストールして、「Windows BitLocker」暗号化システムを強制的に回復モードにするセキュアブート機能の問題に対処するよう促している。
Microsoftは、Windowsの更新プログラムをインストールするコンポーネントであるサービススタックを修正するためにSSUを提供している。Microsoftは通常、毎月の累積アップデートの前にSSUをインストールすることを推奨している。
MicrosoftのセキュリティレスポンスセンターはSSUを「緊急」(Critical)に分類している。Microsoftによると、今回のアップデートは「セキュアブート機能のアップデートに存在する、競合状態が原因でBitLockerを回復モードに入らせる恐れがある問題に対処する」という。
今回の更新プログラムは、「Microsoft Update Catalog」や「Windows Server Update Services」(WSUS)を通じて入手できる。
Microsoftは、最新の累積アップデートをインストールする前に、ユーザーや管理者がこの最新のSSUをインストールすることを「強く推奨する」と述べている。最新の累積アップデートは、7月の月例パッチのアップデートとともにリリースされた。
7月の月例セキュリティアップデートでは、Win32kコンポーネントにおける特権昇格を可能にするゼロデイ脆弱性(CVE-2019-1132)を修正している。ロシア政府の支援を受けたハッカー集団の一連の攻撃で悪用された可能性もあるという。
この脆弱性を突くエクスプロイトを発見したESETの研究者Anton Cherepanov氏は、ローカルの特権昇格の問題について、詳細な記事を提供している。
このエクスプロイトは、Windows 10や「Windows 8」には影響せず、「Windows 7 SP1」「Windows Server 2008 SP2」「Windows Server R2 SP1」などの旧バージョンに影響する。
Cherepanov氏は、このエクスプロイトで利用された手法について、「Sednit」(「Fancy Bear」「APT28」「STRONTIUM」「Sofacy」)と呼ばれる高度なハッカー集団が2017年以前に利用していたものと「よく似ている」と述べている。
Cherepanov氏によると、Windows 8以降は、エクスプロイトチェーンの主要なコンポーネントをブロックするため、この脆弱性はサポートされているそれ以前のバージョンのWindowsにのみ影響するという。Microsoftは、Windows 8の緩和策をx64ベースの「Windows 7」に移植したと同氏は述べている。
Cherepanov氏は、「Windows 7 SP1」の延長サポートが2020年1月終了し、このような脆弱性にパッチが適用されないまま残ることになると説明している。
「Windows 7 Service Pack 1の延長サポートは2020年1月14日に終了するため、32ビット版Windows 7 Service Pack 1をまだ使用している人は、新しいOSへのアップデートを検討すべきだ」(Cherepanov氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。