大日精化工業は、基幹システムを「SAP S/4HANA」で刷新した。2016年7月からシステム構築をはじめ、グローバルでグループ統一の業務標準モデルを構築。2018年1月に中国の生産拠点で稼働を開始したことを皮切りに、2018年10月には日本の本社とグループ5社にも標準モデルを展開して本稼働している。タイの生産拠点でも2019年1月に稼動を開始した。
旧システムは、オフコンをベースとしたスクラッチシステムで、東京本社、関西、東海地域など各拠点が個別に運用していたため、個別最適化と運用の属人化が課題となっていた。単体決算やグループ全体での連結決算の迅速な処理、原価や損益のタイムリーな把握と意思決定のためには、基幹システムの見直しが必要だった。
そこで同社は、海外を含めたグループ全体でのシステム統合、経営資源の最適配置と有効活用を目的に、海外の化学業界でも導入実績のあるSAP S/4HANAの採用を決めた。
グループ統一標準モデルの構築や新システムの導入・展開については、TISが担当した。同社が提供する化学系製造業向けテンプレート「TCM(TIS Chemical Model)」を活用した。拡張性やメンテナンス性を考慮した標準的な業務プロセスを維持し、アドオン開発の抑制に努めたという。また、全社統一の業務フローをもとにユーザー教育を実施し、若手のキーユーザーを育成したことで、稼働後の業務移行を円滑にした。
新システムでは、経営管理の向上と損益管理の精緻化、顧客別や製品別に売上高や営業利益のリアルタイムな把握が可能になった。
大日精化工業の基幹システム概要(出典:TIS)