ビデオ会議サービス「Zoom」を提供するZoom Video Communications(ZVC)が日本オフィスを開設した。日本法人ZVC JAPANが7月11日に記者会見を開催。日本法人の従業員数は23人だが、米本社の国際部門のトップを務めるAbe Smith氏は「2019年内に3倍まで拡大する予定」と日本市場への注力度を示した。
北米を中心にとしたグローバルの売り上げは3億3100万ドル。成長率は前年度比118%を誇る。2011年に設立したZVCだが、国内でもZoomを使ったビデオ会議を経験した読者も少なくないだろう。

Zoom Video Communications CEO Eric S. Yuan氏。記者会見にはZoomで参加した

Zoom Video Communications 国際事業統括ヘッド Abe Smith氏
創業者で最高経営責任者(CEO)のEric S. Yuan氏の説明によれば、「米国やカナダが第一市場だが、ユーザー数で見ると成長率でアジアにおける最速なのが日本。トラフィックも日本は米国に次いで第2位(以下、インド、中国、カナダ、英国)だ」と現状を語った。
同社が示したスライドによると、2017年第4四半期は1万人程度だったユーザー数が、2019年第3四半期には15万人に達し、直近の2020年度第1四半期は20万人に迫る勢い。アジア太平洋地域で見ると、すでにオーストラリアに拠点を持つ同社だが、市場の重要性を鑑みて「日本において事業拡大を決断」(Yuan氏)した。
日本におけるユーザー数の成長要因を問われるとYuan氏は「2013年にZoomをリリースしたが、利用者の中には、日本に支社やパートナー企業、顧客を持つ企業がいた。日本在住のユーザーに対するコミュニケーションを通じて(日本のユーザーから)正しい評価を得られたのだろう。他方で、北米企業とのビデオ会議に用いるケースもあった。このようにZoomが日本国内で波及し、有機的な成長を遂げた。エンドユーザーの皆さんが成し得たボトムアップが大きい」と説明する。
低帯域な環境でも、比較的快適なビデオ会議体験を享受できることで広がりを見せるZoomは、QoSやDiffServ(差別化サービス)といった技術を用いることで、その品質を確保してきた。同社は世界13カ国に設けたデータセンターで制御していると説明しているが、そのうちの1つは日本に設置済み。「1年以上前に設置した。今後も投資を続け、(データセンターを)拡大させる用意がある」(Smith氏)という。

Zoomのデータセンター設置国